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自由研究

 自由研究には多くの人が参加してくれた。

 グループも、個人も、目の付け所は日常生活での疑問。

 些細なことだが、その発見はここでは大発見なのだろう。

 しかし、爪が甘かったり、条件が緩かったりする部分は修正を入れ、考察でより良くなりそうな場合は次回に続編を提出することを勧めた。


 その中で一際目を引くものがあった。



タイトル:

 お母さんとお父さんに言うことを聞いてもらうには




 前世、小さい頃、「お母さん取扱説明書」みたいな本を読んだな、と思った。


 これを書いた子供の結果を日常に生かせるように詳しい内容についての説明は控えることにする。

 これが通用しなくなったら、ちょっとかわいそうだからだ。


 2期生だが、とても年齢が低いと推測される。

 握力が十分でなく、文字も安定していない。まぁ、そこら辺は読めれば良いんだけど。


 内容のレベルも高い。


 無意識的な癖や、機嫌が悪い時と良い時の違い、何をしたら怒るのか、何をしたら機嫌が良くなるのか、詳しく記されている。


 「内容についてのコメントは差し控えますが、とても面白い題材だと思います。ただ、試行回数が少ないので、データを充実させていくことをお勧めします。同時に、一人では無理かもしれませんが、色んな人について調べて、特性を見るのも面白いと思います。それらはもう、立派な研究です。レポートの書き方でアドバイスをするなら、このように、図を書いてから、矢印を使って説明していくのがいいと思います。番号をつけて、その番号を使って説明を書く。…こんな感じですね。次作に期待したいところです。」


 「僕も、これは面白いと思ったな。これで思い通りに人を動かせるかもしれない。」


 「なんか、黒いよ?」


 「ん?気のせい。」



 自由研究だからって、何らかの制約を設けたりしない。

 ただ、不思議に思ったことを研究してほしい。



 結果を出すことに固執すると、基礎研究が疎かになって、後々崩れる。

 結果を出すことに固執すると、頭が硬くなって、柔軟な発想ができなくなる。

 結果を出すことに固執すると、大胆な実験ができずに、行き詰まる。


 そもそも、現状は結果を出すような段階にいない。この世界も、私も。



 恐れることはなにもない。

 自由にのびのびと。

 だって、みんな、副業として研究しているんだもん。



 だから、のんびりと。ゆっくりと。

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スピンオフ短篇の紹介

「ラッキー7の世界で」スピンオフ短篇

作品紹介


完結済

すべてはあの桜花のせい

悠という少年の巣立ちの物語。推理SF小説。

連載中

魔女の弟子と劣等学級 -I組生徒の過ごし方-

魔女の弟子が初めて街に降りて人と関わる学園もの。

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