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伝えたいこと。

<改稿>

リモコンのdボタン的な魔道具について、ボタン式ではなくダイヤル式に修正しました。理由は、二つ押せないようにする仕組みについて言及していないためです。ダイヤル式で、なし/赤/青/緑/黄、となっていて、加えて電源ボタンがあります。改稿しますが、直しきれない部分があるかもしれないのでご了承ください。

 今回、伝えたかったこと、考えて欲しかったことは、テストの中にたくさん入っていた。


 まず、国語の短い問題をみてみよう。


ーーーーーーー


盾と矛


昔、ある国で盾*と矛*を売っている商人がいた。


その商人はこう言うのです。


「この盾はとても硬いから、どんな矛をもってしても、貫くことはできないでしょう。とても頑丈で頼り甲斐のある盾です、いかがでしょうか。」


そして一方でこう言うのです。


「この矛はとても鋭く、どんな盾をも貫くことができるでしょう。どんな敵をも屠るこの矛、いかがでしょうか。」


商人は大きな声でそれらを宣伝する。


そこで、ある人がその商人にこう質問した。


「なら、あなたの矛であなたの盾を貫いたなら、どうなるのでしょうか。」


その商人は答えに詰まってしまいました。


*盾…剣や矢から身を守る防具

*矛…剣の一種


問. この文章が言いたいことに合う話を選び、記号で答えなさい。

男の子 : 俺はな一番かっこいいんだ。

女の子 : へぇ、そうなの?

男の子 : でな、俺は一番力持ちなんだ。

女の子 : ふーん。

男の子 : で、お前が一番可愛いんだ。

女の子 : …何言ってるの?

りんご農家A : 良い塩梅に実ったと思った林檎が盗まれていたんだ。

りんご農家B : 初耳だな。そりゃ大変だ。人の林檎奪うなんて最低だな。そんな奴がいるとは知らなかった。

りんご農家A : 大変なんてもんじゃないよ。せっかく大きく赤く実ったってのに。

りんご農家B : …林檎の木の周りに盾を置いたらどうだ?入ったやつに攻撃する矛も大事だな。

りんご農家A : そうだね。人の林檎を食う奴は万死に値する。

見習い : (首を吊って自殺しようとしている)

棟梁 : …お前、俺はな、命を大事にしねぇ奴が大嫌いなんだ。だからよ、自殺なんか虫唾が走るんだ。正直、俺はそういう奴らに言いてぇことがあんだ…。

見習い : …

棟梁 : ざけんなっ!!自殺なんかする命を大事にしねぇやつは腹切るなりなんなりして死ねっ!!

騎士A : 私はあなたの盾となり、あなたを守りましょう。

騎士B : 私はあなたの矛となり、あなたの敵を屠りましょう。

姫 : …死なないで…。私のために犠牲になったりしないでっ!!

騎士AB : 騎士とはそういうものなのです。その身を犠牲にしあなたをお守りする…。

姫 : (無言で涙を流す。)


ーーーーーーーーー



 これが問題として成立しているのかが正直、心配でならない。

 主題に合うものを…とかにすべきかと思ったけど、主題の意味が分からないと思ったからやめた。

 そして、この文章の原作は言わずもがな、矛盾という故事である。漢文の学習で通らないものはいないと思う。


 私はこの選択肢のストーリーがノエルにウケたことが私のささやかな自慢だ。


ーーーーーーー


初心忘るべからず


 私は授業内容をノートに記している。


 もう、このノートも半分に差し掛かったとき、ふとノートの最初のページを開いた。


 初めに書かれた文字は、整っていて、内容もとても深く掘り下げられている。

 あの頃は、初めての授業に精一杯だった。


 今はどうだろう。

 授業にも慣れ、こんなものか、と思うようになってしまった。

 以前ほど字を丁寧に書かないし、以前ほど一生懸命ではない。

 悪い意味で慣れてしまったのだろう。


 新しいことに目が眩んで足元を疎かにしていないか。

 慣れて怠惰になってはいないか。

 驕ってはいないか。


 今一度、自らを省みて初心に戻ろうと思う。


 我々人間は、すぐに適応し、慣れ、段々と疎かになる。

 だからこそ、「初心忘るべからず」、初々しい最も真剣な初心にいざ立ち返ろうぞ。


 私は丁寧にノートを書き始めた。



問. この文章ではノートの最初と真ん中を比較している。最初と真ん中の対比について具体的に述べよ。

ーーーーーーー



 これは私の中であるあるネタです。

 新しいノートを買うと、そのノートの初めはとても丁寧に書くのだが、一度間違えたりすると、適当な字に戻っていく。年度の始まりは頑張ろうと気合を入れるが、しばらくすると断ち消える。



ーーーーーー


問. 愛とパンなどのモノ(服や宝石類、その他含む)、どちらが大事ですか。理由とともに書きなさい。


ーーーーーー



 もはやテスト問題ではない。愛と金の問題のオマージュだ。

 答えのない問題に対する姿勢を見るためのもの。

 これは、書いてあればマル、減点があるとすれば、文章の食い違いだ。


 本当は無人島に何を持っていくか、にしたかったんだけど、ノエルの反応を見てやめた。これは時期尚早だ。




 「以上で今回の授業を終わりにします。お疲れ様でした。次回の授業では領地の課題についての合同授業と読書感想文の採点、というか、添削についての解説があります。手元にはノートがあれば大丈夫ですが、資料が欲しい方は用意をお願いします。また、早めに提出をしてくださったので、読書感想文の添削が終わりそうです。こちらは次回授業時に返却して、それとともに授業を受けてもらいます。なお、纏めた文集については今日には全ての授業会場で見れるはずなので、興味がある方は、部数が少ないですがどうぞ、楽しんでください。では、ありがとうございました。」



 ノエルが授業を終わらせてくれた。

 うん、まぁ、上出来じゃない?

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スピンオフ短篇の紹介

「ラッキー7の世界で」スピンオフ短篇

作品紹介


完結済

すべてはあの桜花のせい

悠という少年の巣立ちの物語。推理SF小説。

連載中

魔女の弟子と劣等学級 -I組生徒の過ごし方-

魔女の弟子が初めて街に降りて人と関わる学園もの。

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