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洗礼式

 昨日は大変な目に遭った…。


 別に女の人たちには怒ってないのよ?そういう考え方をする輩がいるんだってことを知れたのだし、それについても勉強していく必要があると自覚したのだから。


 問題はその後だ。

 レオンさんに追及されて、瑞稀が何が起きたかを吐いて、怒られて?誉め殺しプレイに持ち込まれた。

 この一文だけ見て、本当に意味が分からないのだけれど、事実だから仕方ない。


 何がしたいんだか知らないけど、本当に恥ずかしかったんだから。


 今なら反論もできるけど、あのときは気が動転していててどうしようもなかった。


 可愛いって私に対する形容詞じゃないからっ!!


 私は天然じゃないし、普通だし。うっかりミスが多いならそれも改善するさ。確かに100点取れないくせに99点98点を量産していたけどさ。頑張るよ。


 本当、恥ずかしくて。というか、レオンさん言ってて恥ずかしくなかったのかな。


 私なんて、無意味に走り回ったり、ベッドで飛び跳ねたり、細長いタオルみたいな布を振り回したりするのを我慢するのにどれだけ労力を使ったことか!!




 でも、朝になって目覚めたら意外とスッキリとした。


 もう全て終わったことだ。


 レオンさんに隠し事するとヤバいという教訓を得られたわけだし、これからは気をつけよう。以上。


 何故レオンさんが誉め殺ししてきたのかはちょっとよく分からないけど、気がついたんだ。恥ずかしいことを言っていたのはレオンさんであって私ではないと。私は被害者であると。そして、私が慌てたら思うツボだと。


 まぁ、100%事実ってわけじゃなさそうだし。

 適当に私がダメージを受ける言葉を揃えたんでしょう。


 なんか、7歳?が言うセリフじゃないし、きっと小説か何かの引用で私のことを言っているのではない。

 そう思えばなんてことない。


 本の読み聞かせを聞いていたんだと今なら納得できる。


 あの状況じゃ頭回らなかったけど。



 よし。今日もがんばろー!!



 「父上、母上、今日が洗礼を受ける日のようです。」


 朝食の席でのレオンさんのこの言葉が今日の予定を決定づけた。


 本でも学んだけど、洗礼式は何にも優先されるべきものである。


 7歳7ヶ月7日に一生に一度だけ行われ、ここで固有能力を一つ与えられる。場所は教会で、いつやるかは夢かなんかで知らせてくれるらしい。何にも優先される理由は、それを妨げる者神より罰が下る、とかそんな理由だそうだ。罰は本当に降るのか?とか、いろいろ考えてしまうし、本当に何より優先すべきなの?とも思う。とはいえ、これを元に職業が決まっていたりもするから、平民の洗礼を貴族が阻害したらそれは死活問題なんだよね。それを防ぐためなら有効なのだと思う。


 「おめでとう、レオン。」

 「やっと一人前ね。」


 うん、慶事らしい。


 固有能力は本人の資質や願いその他を色々と鑑みて与えられるらしい。高度なシステムだなぁと思う。


 ということで、教会へレオンさんの洗礼式を見届けにきました。


 といっても、複雑なことなんてない。


 水晶のようなものに手を翳せば、紙に文字が浮かび上がってくる。


 「固有能力は『ポリグラフ』となります。おめでとうございます。」


 レオンさんに紙が手渡される。


 レオンさんは緊張した面持ちでそれを受け取った。


 半分は切り取って両親に預け、女神さまからのメッセージとやらを読んでいるようだ。


 「で、どんな能力だったの?」


 ロザリーさま、レオンさんの母が尋ねた。


 「……屋敷でお話しします。」


 レオンさんはそれだけ答えた。


 ポリグラフ…聞いたことがあるような、ないような。


 いや、勘違いか?


 でも、可能性としては多々ある。

 何故なら、この世界では意外と地球での知識・考え方・その他が利用されているからだ。



 「俺の能力、ポリグラフは…嘘がわかるという能力だそうです。」


 なんと、嘘発見器だった。


 正式名称がそんな感じだった気がするような、しないような。


 「それは…本当に?いや、レオンを疑っているわけじゃないんだけど。」

 「真実と嘘が蔓延る社交界でこれほど有用なものはない。確かに外で言わなかったのは正しかっただろうな。」


 信じ難い能力かもしれないが、万能じゃない、はずだ。


 一つ、その人が信じ切っている偽りの話に反応できるのか。

 二つ、心拍数その他で人間がその装置を騙しきることができるのか。

 三つ、それによって本人は病まないのか。(ON/OFFは可能か)


 創作他、本などからの知識ではあるが、さまざまな欠点が存在したはず。


 「今日はしばらくの間、この能力について考えてみたいと思います。」


 「そうか。固有能力の把握は大事なことだ。」


 レオンさんの予定はそう決まったらしい。


 まぁ、私やノエルはいつも通りに日常を送るのだが。




 「どう思う?」


 仕事を始めて開口一番に聞かれるのがそのタイムリーな話題とは。


 「どう、と言われましても、詳しいことが分からなければなんとも。しかしながら、多くの固有能力は恐らく万能ではありません。レオンさんも例外ではないと思います。」


 嘘は言っていない、はずだ。

 それとも隠し事をしている時点で同罪か。


 「そうか。ノエルは?」


 「…最強の能力だと思いますね。だって、嘘見破れちゃうんでしょう?」


 意外だ、ノエルは基本的にそういう言葉を使わないと思っていたのに、いや、違うか。


 「クックック、姉弟揃って私の能力を試しにくるとはな。面白そうだと興味をもったら取り敢えず試してみるというやつか?」


 うん、そうだよね。ノエルも試していたか。


 分からない未知のものがあったら取り敢えず突っついてみるじゃん?


 で、私はギリギリを攻め、ノエルは嘘をついたと。


 「ノエルの話は嘘だな。だが、セシルは部分的に嘘、いや、嘘ではないが何か隠している?」


 「正解です。」


 ノエルは頷き、私は…


 「確かに、少し推論を隠しました。確実じゃないから言わなかったというのが正しいでしょうか。」


 「まわりくどい言い方をすると完全に嘘と認識されないな。」


 うん、完全に嘘判定ではなかったらしい。


 「欠点のうちいくつかは推測しました。一つ、発言者が事実でないことを信じ込んでいた場合それは嘘と判断されるのか。二つ、その対象は発言のみか、それとも文面でも対象内か。三つ、今私が明日の天気を適当に予想したとき、それを事実に照らし合わせて判断できるのか。四つ、その能力は使わないことは可能か、ということです。」


 「すでに四つか。俺も仕組みはよく分からないが、人に対してのみ、つまりは文面は対象外ということが分かる。能力を使わないことは…できなさそうだな。」


 それは難儀なことで。

 相手の言葉を全て信じられなくなる可能性がある能力、呪いみたいなものでしょう。

 便利なのは確かだから、プラマイゼロになるだろうか?


 「他の事象に関しては実験をすればいいだけ。」


 そう、例えばダウトゲームとかね?


 ダウトゲーム : うまく嘘をつきながら札を出していき、手札がなくすゲーム。


(1)カードをシャッフルし、全員に均等に配ります。

(2)1人ずつ、カードを裏向きにして場に出していきます。カードはA→2→3…Q→K…の順番で出すきまりなので、1番目のプレイヤーは「A」と言って、カードを出しましょう。

※♠♣♥♦のどのカードでも出せます。

※一度に最大4枚まで出せます。

(3)4番目のプレイヤーなら「4」と言ってカードを出します。順番どおりのカードを持っていなかった場合、ほかのカードをこっそり出してしまいましょう。

(4)カードが出されるたび、ほかのプレイヤーは順番どおりのカードかどうかを見きわめます。「このカードは違う」と思ったら、「ダウト」と宣言しましょう。

(5)宣言があれば、実際にカードをめくって確かめます。

(6)もし順番と異なるカードが出されていたら、ウソを見破られたプレイヤーにペナルティがあります。場のカードをすべて、手札に足さなくてはなりません。

※カードを同時に2枚以上出していた場合、1枚でも異なるカードがあればウソになります。

(7)逆に、順番どおりのカードがきちんと出されていた場合は、「ダウト」と宣言したプレイヤーが場のカードをすべて手札に足すことになります。

(8)誰も宣言せず、次のプレイヤーがカードを出したら、順番は次のプレイヤーへと進みます。

※この場合、カードは裏向きのままで見ることができません。

(9)この流れをくり返し、誰か1人でも手札がなくなったらゲーム終了です。最初に手札がなくなったプレイヤーが1位、あとは手札の少ない順に2位、3位…と順位が決まります。


[Nintendoのホームページより]



 ゲームの中で検証するのは三つ。


検証1 相手の嘘を見抜き、「ダウト」と言えるか。

検証2 誰かが「ダウト」と言った際にダウトかどうかが分かるか。

(検証3 口に出さずに出したら気づけるのか。)


 検証3はルールから外れるため、一旦置いておく。


 さて、検証することができるだろうか。


 「なるほど。これでいくつかの事象を検証することができるのか。」


 「検証でなかったらこんなことしないんですけどね。だって、確実に負けるじゃありませんか。」



 さて、検証開始だ。

https://www.nintendo.co.jp/others/playing_cards/howtoplay/doubt/index.html

↑ダウトのルールについてこちらから引用しました。

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スピンオフ短篇の紹介

「ラッキー7の世界で」スピンオフ短篇

作品紹介


完結済

すべてはあの桜花のせい

悠という少年の巣立ちの物語。推理SF小説。

連載中

魔女の弟子と劣等学級 -I組生徒の過ごし方-

魔女の弟子が初めて街に降りて人と関わる学園もの。

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