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魔道具の作り方

 魔道具とは誰もが使える道具である。

 それは魔法が使えるかどうかに関わらない。

 魔力は生物として生きる限り、誰もがその身に持つエネルギーである。

 生きてる=魔力を持つということである。


 「魔道具の研究する貴族も多いんだが、基礎というものが全くない。だから、マトモなものができないのも納得ってわけだ。奴ら、勉強が嫌いだからと魔法も魔道具もできればそれでいいと思ってやがる。だが、基礎こそ真理、そして至高だ。よって、根本たるモノを理解してねぇなら、それは何もできないと同じ。」


 ブルナンどのの講義は理論的で分かりやすい。

 最近は授業で使う黒板を使って教えてくれるから、より分かりやすい。


 彼曰く、貴族は地道な基礎が嫌いらしく、そこの部分をしっかり理解している人が少ない。適当に詠唱して魔法が撃てればそれでOK、あとは詠唱を工夫して強いものにすればよいと。だが、ブルナンどのは弱く打ったり、緻密なコントロール、魔力の制御など地道なものを重点的に教えてくれる。私も地道なものは苦手だけれど、ブルナンどのはそれの目的を詳しく、分かりやすく教えてくれるから、そこまで退屈じゃないんだよな。


 彼の話だと、魔道具も同様らしい。


 「お前たちの話だと、授業で主に使っている魔道具は書類転送と映像放映だ。それらは遺跡かどこかから発掘されたか、王宮のどこかに保管されていたものを複製しただけだ。誰もその定義を知らない。よって、実際に誰かが開発できたわけでも、理論がわかるわけでもねぇ。そりゃ、技術があるとは言えないぜ。」


 まぁ、あれもあれでオーバーテクノロジーだとは思いましたよ。

 魔法の力でなんとかしたという考えも否定できませんでしたが。


 「魔道具を作成する場合、自分が使える魔法を込めるのが一般的だ。光を付与するものが多いんじゃないか。蝋燭の代わりに暗いところを明るくする。」


 電気ですね。


 「魔物の素材には魔法を込めやすいから、よく魔道具の部品に選ばれるわけだ。で、大事なのはここからだ。本来魔道具作成と魔法は大きく異なる。自分が使えない魔法や属性以外の魔法も組み込める可能性があるのが魔道具だからだ。問題は組み込み方だ。俺も書物を読み込んだ上での説明だが、魔力回路というものを組み込むことで、魔物の素材以外で魔道具を作成することができるそうだ。魔力回路には蜘蛛の魔物の糸などが用いられたらしい。魔力の流れを決めるものだ。そこから、魔力を通したインクを用いて、効果を入れていく。無理のない効果なら大体可能らしいが、疑問点も多い。魔波という魔力の波を飛ばすというものや、魔波を受け取るもの、回転するもの、などの効果について記録されている。だが、魔波を用いたものというのが正直わからない。書籍によれば、魔波は音波や電波など、電磁波の仲間であるとのことだ。俺からしたら、こんな簡単なもので何を作ったらいいのか分からないというところだ。」


 実際の魔道具というのは電力の代わりに魔力を用いたものらしい。完全に理工学方面だ。さようなら。私はコンピューターありきの世界の専攻を考えていたんです。専攻なんてできずに死んだんですけど…。


 「ブルナンどのは何か試したのですよね。僕はブルナン殿が読んだ上で試さないなんて考えられないと思うのですが。」


 ノエルが尋ねた。


 「あぁ。魔波を使って離れたところから光をつけることに成功した。だが、これを何に使えばいいのか分からない。何より、俺ができるのは魔法だけだ。この方法は必要な魔力量が極端に少ないのが利点だが、俺の手に余るぜ。」


 赤外線操作…リモコン…って超有用じゃん。


 「ブルナンどの。これはきっと他の職人がいれば、無限に発展可能だと思いますよ。使い道だってたくさんあるでしょうし。そう、例えば…ドワーフの方に協力してもらえれば、また違ってくるのではありませんか。ドワーフは絡繰りにとても詳しいんですよ。それに、その遠隔操作だって授業に使えば有用ですし。」


 例えば、リモコンのdボタンみたいな活用法ね。それぞれが授業の配信場所へフィードバックできるのだから、説明を理解できた人は赤、できなかった人は青のボタンを押してくださいというだけで、どれほど効果があるのか。できれば、グラフみたいにしたから明かりが灯ってくれれば嬉しいのだけど…。


 「有用?こんなのが?」


 「勿論です。」


 私はリモコンのdボタンに関する説明をした。

 dボタンのカラーは…赤青黄緑だったはずだ。


 説明を聞いた一同は様々な反応を見せた。


 「確かに、これがあったら僕たちとしては凄い助かる。いつも、向こう側の反応が見れなくて困っていたんだよ。」


 「ただ光を灯すだけで意思が伝わってくるとは…。ただ光っただけなのに。」


 「…だとしたら、これ以外にも色々とできることがあるんじゃねぇか?例えば、手紙の代わりとかも考えられるぜ?」


 それだけでメールに辿り着くブルナンどのは本当に恐ろしいと思います。

 ノエルは授業の講師としての立場から役に立つと判断しているようで、レオンさんは光るということがそれだけで意味を成すということに驚いているようだ。


 実際、コンピュータが判断できるのは1と0のみだと聞いたことがある。要はスイッチのONかOFFということだ。それらを組み合わせることで、複雑な反応を見せているというのだから、本当に凄いものだ。


 …なら頑張って電卓でも作ってみようかな。

 相当苦労することになりそうだけれど、仕組みの素案があるなら、頭いい人たちに相談してみればいいんだもんね。一人でやる必要なんて存在しない。


 モールス信号…知らないけど、それもそういうことでできそうなものだ。


 ブルナン殿が努力して漕ぎつけた魔道具が、どれだけの価値を持つか、理解できたであろう。


 私たちは試行錯誤とツテを辿ってドワーフとも連絡をつけながら、リモコンのdボタンについて開発を進めることにした。


 休み明けには導入できることを期待している。

 

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スピンオフ短篇の紹介

「ラッキー7の世界で」スピンオフ短篇

作品紹介


完結済

すべてはあの桜花のせい

悠という少年の巣立ちの物語。推理SF小説。

連載中

魔女の弟子と劣等学級 -I組生徒の過ごし方-

魔女の弟子が初めて街に降りて人と関わる学園もの。

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