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長期休暇と云へば

 「以上が長期休暇に出す課題です。質問はありますか。」


 今日も今日とて業務に励むセシルです。


 「読書感想文は姉さんが書いていたから分かるけど、これ、どうするんですか?誰が課題の出来を見るんです?」


 ちなみに、課題は以下の通りである。


<1期生(2年目の人たち)>

①読書感想文 : 長さは問わないので一冊本を読んで専用の清書用紙に感想文を書くこと。

②領地まとめ : 1枚の大きな模造紙に各授業会場ごとにその地域についてまとめること。

③自由研究[任意] : 個人・団体、内容は問わない。レポートにまとめて提出すること。結論まで達しずとも良い。

④年賀状[任意] : 昨年と同じ年賀状コンテスト。

⑤書初め[任意] : 1月からの一年への決意・抱負をかっこよく、美しく書くこと。名前も作品のうち。

⑥テスト勉強 : 最初の授業でテストを行うのでそれに向けて勉強すること。

※[任意]はやってもやらなくても良い。


<2期生(1年目の人たち)>

①アイディア[選択] : 研究したい内容や、改善したい問題点などを書く。根拠があるとより良い。住んでいるところがどうなったらより良いのか、どういうところが問題点なのかを募集する。思考の過程を細かく記すこと。結論に達しずとも良い。

②年賀状[選択] : 素敵な年賀状葉書を作成すること。

③書初め[選択] : 目標や抱負を指定の大きな紙に美しく、またはかっこよく書くこと。自分の名前も書くこと。

④読書感想文[選択] : 本を一冊読んで感想文を書くこと。専用の清書用紙に書くこと。来年に向けての挑戦。

⑤読書5冊 : 本を5冊読むこと。難易度、長さは問わない。

⑥授業内容に関する練習問題 : 授業内容に関する課題

※[選択]の中から一つ以上を選んで行うこと。


 2ヶ月、それもこの世界の1ヶ月は7日x7週間だから、かなり時間はあるはず、と大量の宿題を出してしまった。



 「課題は全部私が見るから心配いりませんよ。読書感想文も、領地のまとめも、自由研究も私がみます。後は、1年目の方に出したアイディア募集ですね。そこら辺は気にせずとも私が見ます。」


 「見ますじゃないでしょう。姉さん、どれだけ仕事抱えたら気が済むの?僕らに回してよ。」


 ノエルが怖い。

 ノエルは私が大量の仕事をすることをよく思っていない。尚、ノエルの仕事量も私に匹敵する。


 「いや、流石にこれは無理ですね。だって、ノエル、私の代わりに読書感想文の添削できるの?私が評価内容を決めている以上、私が見るのがいいでしょう。今回のを元に、次回以降は添削する人を増やせばいいですし。領地のまとめは、各授業会場1枚だから問題ない。そして、自由研究やアイディア募集は自由参加だからそこまで集まらないでしょう。」


 私も読書感想文を偉そうに添削できるほどうまくはないけれど、他の人よりはマシだと思う。だって、何年読書感想文と戦ってきたと思っているんですか?


 「…いや、確かに読書感想文見れないんだけどさ、どうにかできないの?領地の方は…まあいいとして。」


 「読書感想文ってやつは集めてどうすんだ?」


 はい、ブルナンどの、いい質問です。


 「文集にする。各教会に置いて、誰でも読めるようにする。名前を匿名にしたい人、掲載してほしくない人は、その旨を尋ねる質問にそう記してもらって、掲載はしないようにする。添削前のを掲載する予定。」


 やっぱり、人の作品を読んで目を肥していかないと。

 大丈夫、プライバシーを侵害しないように選択できるようにするよ。


 「他の宿題は…テスト勉強とあるけど、そんな適当でいいの?」


 「自分の勉強方法を考えてほしいという意図なんだけど、まだ早いかな。それならノエルに宿題考えてもらうけど。」


 「…どんな勉強をするかでテストの点がどうなるかを見るということか。」


 さすがレオンさん、よく分かってますね。

 最終的に独り立ちしてもらわないとだから。独学の方法も必要なんです。


 「うん、一概には言えないけれど、いい勉強方法とそうでないものをそれぞれ発見してもらわないと。自主学習というか、自分で勉強するという力は必要だからね。」


 「失敗してもいいところで練習と。」


 「一応1年組には出すよ?どんなものかは検討中。」


 「そこは僕に任せて。流石にこれ以上姉さんに負担させられないから。で、テスト内容も姉さん?それはやり過ぎでしょう。」


 さすがノエルさん。

 しっかりと宿題を考えてくれるなんて。


 「ちょっと趣向を変えたくて。長期休暇の間は時間があるでしょう。その間に作ればいいから、事前に準備しておくことは限られるの。ノエルは次の教科書の内容を固めたりするでしょう?その間にレオンさんやブルナンどのは勉強をするそうだし…そうすると、私がやるのが丁度いいだろうな。」


 問題を大きく二種類作る。

 一つは基礎問題、普段の学習成果を見るような問題。

 もう一つは★印をつけた、応用問題。どれだけ対応できるかを見るための問題で平均点が低くても気にしない。


 「…で気になっていたのだけれど、今年って何年なの?」


 そう、これまで何年かを聞いたことがなかったのだ。

 テストをやる以上、テストの表紙に書く必要があるし、今回の記録にも必要だろうと考えていた。


 「…何年って何を言っているの?」

 「意味わからねえことを言うやつだぜ。」


 まさか…、いや、そのまさかだよね?


 「どうやら、人間は年を数えてないらしいのう。」


 はい、そのまさかでした〜。


 「マジか…。…なら、現在の国王陛下が即位して何年目かはご存知ですか。」


 もう陛下の名前を年号にして、即位した年を元年とした方が早い。西暦みたいなのがあったら楽なんだけど、それは瑞稀にあとで聞こうか。人間は年を数えていないのだから、きっと瑞稀たちは何らかの手段を持っているに違いない。


 「…確か、14(**)。第一王子と同じ年で、今14(**)なはずだぜ。城を見れば確実だ。城に掲げられる旗は即位した時はないんだが、年初めの夜会で一つずつ掲げていく。」


 なら、即位した時点ではなく、即位して初めての夜会で1とカウントするのだね。


 「なら、今年を14(**)年としよう。年号は…陛下の名前か何かでいいだろうか。えっと…」


 誰だっけ?

 まずい、自分の住んでいる国の国家元首を知らないとか、政治に無関心すぎるでしょ。


 「クリストフ陛下だよ。国王陛下の名前をそのままだと長いだろうな。」


 日本なら、漢字二文字で略す際にはアルファベット一文字で表していたから…


 「最初から2文字を引用できないかな。それくらいなら問題ないはず。正式名称は陛下の名前ということで。…不敬にはならないよね?」


 「確かに、そうなったら平民も含めて皆呼び捨てにしてしまうだろうね。僕も長ければ陛下なんてつけてる余裕ないし、それはもはや陛下のことを呼んでないし。」


 ノエル正しく懸念を読み取ってくれてありがとう。


 「念の為確認が必要だな。父上に頼んでおこう。」


 「いやいや、流石にそれは騒がせ過ぎでしょう。公爵さまに頼むわけには…正直、現在進行形で皆さんを巻き込んでいますが…。」


 本当にまずい事になった。

 確かに、年数は欲しいところだけれど、そんな私事で国王陛下を煩わせるわけにはいかない。


 「問題ない。それに、これは国王陛下の威厳を示すためにとてもいい事だから、王家が反対するはずないよ。」


 それでもさ、マズイものはマズイって。


 早く瑞稀に聞いてそれ以外の数え方を探そう。


 数日後、年号はクリストフ陛下からストフに決定された。クリストフ陛下を呼び捨てにすることはできないため、名前から連想したらしい。なお、クリスは親しい間柄の人から呼ばれる愛称だったため、年号とすることを辞めたらしい。


 カレンダー作ったら売れないかな…。

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スピンオフ短篇の紹介

「ラッキー7の世界で」スピンオフ短篇

作品紹介


完結済

すべてはあの桜花のせい

悠という少年の巣立ちの物語。推理SF小説。

連載中

魔女の弟子と劣等学級 -I組生徒の過ごし方-

魔女の弟子が初めて街に降りて人と関わる学園もの。

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