運動
お茶会が終わると、私たちはいつもの日常に戻った。
ブルナンどのの指導を受けながら、魔力制御の練習を繰り返す。
退屈でも続けることが大事なんだと。
魔力の出力を緻密にコントロールし続ける。
そして、魔力の質を上げて、少量の魔力でも大きな魔法ができるように極めていく。
そして、新たに取り組むのが運動だ。
「セシル、テメェのチャリ運んできたぞ。」
佐助の連絡で外に出ると、本当に自転車がそこにあった。
「テメェに合わせて高さも調節した。まぁ、乗れんだろ。」
私とノエル、レオンさんに加えてブルナンどの、腕に巻きついている瑞稀は、人気の無い平な場所へ移動し、そこで自転車を乗ることにした。
「ここは魔法の練習場だぜ?遊び場じゃないんだが…。」
ちょっと椅子が高いから、私は片足をペダルに置いて、勢いをつけてから乗る。
「あー気持ちいい!!風を感じるね。」
「チッ、転ぶのを楽しみにしてたのによ。」
おい、佐助、聞こえているぞ。
に対して、他の面々は驚いていた。
「何故倒れないんだ?車なら車輪は4つだろう?」
「姉さん、危ないよ!!」
「意味不明だ。」
うん、乗るのにはコツがいるからね。
筋力的には問題ないみたいだ。
ブレーキを掛けて皆んなの前で止まった。
「佐助、ありがと。あと、他の皆さんにも。とても嬉しい。」
「俺は乗れるだろうか?」
レオンさんは興味が勝った模様。
「練習すれば意外といけるんじゃないですか?」
適当に答えた。
レオンさんが自転車に乗ってみると、一瞬でコケた。
ちなみに怪我はしていない。
瑞稀が助けたからだ。
「いや、乗れないだろう。」
「なら、次は僕がやる。」
次の挑戦者はノエルだ。
いや、ノエルは身長的にキツイのでは?
「テメェが乗るなら調整する。ちっと待ってろ。」
佐助が調整してノエルが乗ったけど、案の定倒れる。
佐助はノエルが乗った後、高さを調節して乗り回してた。
瑞稀は乗れるが興味ないそうだ。
曰く、自分が歩く方が速いそうだ。
さて、今回の運動はこれだけではない。
縄跳びだ。
「二重跳びもできるやつだ。」
そう言って渡されたのは、スポーツ店で買えるような性能の高い、というか縄ではないもの。
素材はよくわからないが、曰く、狩った魔物の素材らしい。
「ありがとうございます!!これならいける。」
私は手始めに前跳びをして、駆け足跳びをした。
ちょっとしたウォーミングアップなのに、もう疲れた。
「軟弱だのぅ。だから、倒れるのじゃ。」
すみませんね、前世はもう少しできたのだけどね。
縄跳びは全身運動、体力をつけるのにうってつけだ。
…仕方ない、二重跳びでも見せてやろう。
10回も跳べなかった。
筋力不足だ。
コツがわかっているから、数回は跳べるんだけどね…。
今後の課題だな。
「なるほど、縄を跳ぶのか…。」
レオンさんは観察して、ゆっくりと前跳びを始めた。
「跳ぶのと回すのが合わない…」
「姉さん…一度跳ぶ間に2度縄を回してる…。」
それぞれ苦戦していた。
そして、意外と跳んでいたのがブルナンどのである。
「これは…体力がつくな…。集中力も…。」
ハマったらしい。
「セシル、ダブルダッヂはできんのか?」
「一応入れますが、何回も跳べるかはわかりませんね。」
と言うことで、瑞稀と佐助が回してダブルダッジに挑戦。
2回跳びました。
そして、八の字跳びを見せて、これを全員でやりたいらしい、瑞稀が。
「我は縄を回してやる。」
そして、本人は回し手以外やる気がない。
その日は全員が立てなくなるまで運動をした。
「ただの縄ごときに…」
「今日はここから動いてないのに…」
「もう、立てない…」
元気で立ってるのは瑞稀と佐助だけだ。
それ以降、毎日少しずつ縄跳びを繰り返し、私たちの体力は向上していく。
次の日は筋肉痛に悶絶したとか。




