転生して気づいたこと
主人公
故・七瀬麻琴 (17) 高校2年 女子
(交通事故で死亡。ただし本人は覚えていない。*死亡前後の記憶が曖昧)
七瀬 麻琴(17)高校2年生
だった筈の私が目を開けると狭い視界にたくさんの大人が慌ただしく走り回っていて自分のものと思われる産声を聞いて、転生したんだなと思った。
物語でよくある異世界転生というものだろう。大人たちが着ている服も現実では見たことないものだし、よくアニメで見た魔法っぽいもの使ってるし。言語もよくわからない。まぁ、日本語でも英語でもないってことは確か。
これが自分の夢だったとしても、異世界転生した夢ってことでいいし、何より私がその夢から醒めない限り此処で生きなければならないということは、これが現実でも同じこと。どうしたって此処で生きなければならないことに変わりない。
此処で生きようと思って観察を始めてすぐに違和感を感じた。
!?
違和感の原因がわかった。
だが、赤ちゃんの視界がぼやけているからか?
勘違いってこともある。
どう見たって彼らは人間だし、私も人間の赤子に違いない。
では幻覚か?
幻覚であってほしい。
私は思う通りに動かない体をなんとか動かして自分の手を見た。
あぁ、なんということだ。
幻覚でなかったか…。
そう、信じ難いことに。
指が7本あった。
あまりのパニックに私はひときわ大声で泣いた。
周りの大人はにこやかに喜んでいた。
拍手している彼らの手の指も7本あった。
元気な子が生まれてきて嬉しいと、きっとそういうことだろう。
私だって知ってる。生まれて初めて泣くのは呼吸のためだと。
それを知ってか知らずか元気で良い子とかそういう意味だろう。
でも、今泣いてるのはそーゆーことじゃない。
違うんだよ。
なんで指が7本あるんだ!!
だから違うんだよ!!
と抗議をしようと声を張り上げれば泣き声が大きくなって周りを喜ばせるばかり。
もう、疲れた。
私は自然に眠りについた。
あぁ、こんなカオスな世界で暮らしたくないよ。
次回予告
七瀬麻琴はどのような人物だったのか。
前世の指の本数は?(勿論5本です。)