コミカライズ第5巻発売記念ショートストーリー『沼地を利用してみよう!』
スライムしか棲みつかなかった沼地で、ついに水耕栽培が開始となる。
ガブリエルに提案してみたら、あっという間に実施に繋げてくれたのだ。
スライムを討伐し、スライムが近づけないよう結界を張って、沼地に肥料を与えて野菜が育てられるようにしたのである。
育てるのはクレソン。
沼地のような湿った場所を好む野菜で、スプリヌ地方の気候にも合っているのではないか、とガブリエルと話し合って決めた。
今日は領民達と沼畑に集まって、種植えを行う。
私もやる気だったので、乗馬用のズボンを穿いてやってきたら、領民らに驚かれた。
「フランセット様も種まきをするんですか!?」
「ええ、そうよ」
「止めておいたほうがいいですよお」
そう言われても、提案者が見学だけというわけにもいかない。
強く止めてくるので、どうしたものかと思っていたら、プルルンが助け船を出してくれた。
『フランのことは、プルルンがたすけるから~』
「プルルンがそう言うのならば」
「もしものときは、フランセット様を助けてくれよお」
『プルルンに、まかせて!!』
信頼の実績を持つプルルンのおかげで、なんとかこの場を切り抜けることができたようだ。
私だけでなくガブリエルも種まきに参加するつもりで、汚れてもいい服装でやってきたのだ。
そんな彼は領民を集め、沼を弾くクリームを靴やズボンに塗るようにと言って配布していた。
私とガブリエルは、撥水加工を施した服を着ているので、きっと問題ないだろう。
ついに、種まきは始まる。まずはガブリエルが沼畑に入ったのだが。
「――うわっ、深い!!」
一歩踏み出しただけで、ガブリエルの足は膝の辺りまで沈んでいた。
かなり深い沼地のようだ。
領民達もあとに続く。
「うわっ!!」
「どわっ!!」
「ふ、深い!!」
私もプルルンを肩に乗せた状態で、一歩沼地へ踏み出す。
「――!!」
思っていた以上に足が沈んだ。
けれども男性陣よりも体重が軽いからか、ふくらはぎの辺りくらいまで沈む程度だった。
撥水加工のある靴や服のおかげで、足を取られることもなく、進むことができた。
なんとか目的地に到着すると、種まきを始める。
せっせ、せっせと種を撒き、なんとか終えることができた。
「みなさん、お疲れ様でした!!」
メイドのニコ、リコ、ココが差し入れのサンドイッチと温かいスープを持ってきてくれた。
疲れた体に染み入るようだった。
「領主様、フランセット様、あとのお世話は我々にお任せくださいね!」
「立派なクレソンを作ってくれますので!」
「頼みますよ」
「収穫を楽しみにしているわ」
そんなこんなで数ヶ月後――クレソンの収穫に成功すると、ジャガイモやニンジンなどの根菜類も沼畑で栽培が開始される。
沼畑での野菜の栽培は年々拡大していき、スプリヌ地方の特産となるのは、数年後の話。
大成功を収めたのだった。




