表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/41

赤いチューリップ

 レオからの宣誓のような告白を受けてから5日。私は自室の鏡の前でメイドたちに囲まれていた。



「お嬢様、本当にこちらの髪飾りでよろしいんですか?」



「ええ、今日は一応お忍びですもの。目立つ装飾は一切なくして、地味にしていただきたいわ」



 今の私はハーフアップにした髪は赤いリボンで結び、白いブラウスに紺色のロングスカートと、貴族にしてはかなり落ち着いている格好をしている。



 といっても、さすがに平民とはいかないから商家の娘風だけどね。



 これは先日レオと決めたことだった。



 そういえばこの間の…こ、告白…から会うのは初めてなのよね。



 結局、先日はあの後庭園を案内してもらってから解散したのだが、とにかくあの時は動揺しすぎて一周回ってスン…とした状態だったので正直あまり記憶にない。



 別に前世で恋愛経験が無かったわけではないし、人並みにはしてきた。してきたが……あんなに甘々じゃなかった。


 普通の日本人の、普通の恋愛。ちょっとした仕草とか言葉に一喜一憂してトキメイてた前世と比べても、レオは規格外だった。



 何をしても絵になるのよね…。



 今の自分も主要キャラなだけあって美形の部類に入る自覚はあるが、レオは特に顔が良い。レオのことを恋愛対象として好きか?と聞かれると答えに悩むが、ときめくか?と聞かれたら即答出来る。



 ちょっと……いえ、だいぶ残念ではあるけれど…。



 オネエさんみたいになるのはまあ、良いとして……サラに対する愛がとにかく重い。スイッチが入った時のマシンガントークもさる事ながら、まさか鼻血を出すとまでは思わなかった…。



 ……あら。そう考えると緊張が解れてきたかもしれない。



 イケメンにあれこれされると心臓が持たないけれど、残念なイケメンだと思えばなんとかなる気がしてきた。そうよね、今日だってアルフォンソの件もあるけどレオは焼鳥食べる気満々だし。



 身支度を進められながらそんな事を考えていると、部屋のノックが鳴らされた。



「入っていいわ」



「失礼致します。レオナルド殿下がご到着されました。応接室にて、お待ち頂いております」



 扉を開けたのは、金髪をオールバックにした二十歳前後の青年。執事見習いのディーノだった。恐らく執事長はレオへの対応をしているのだろう。



「ありがとう。もう終わるから、すぐに向かうわ」



「承知致しました。それと…こちら、レオナルド殿下からの贈り物でございます」



 ディーノの言葉と同時に、扉の影から赤いチューリップの花束を抱えたメイドが姿を現した。



「まあ…可愛い。素敵なプレゼントね。マリー、私が出かけている間に飾っておいて貰っていいかしら」



 ふっくらとしたチューリップの花束にはカスミ草が添えられており、華やかながらも可愛らしいブーケとなっている。花自体も艷やかで、丁寧に育てられたことがよく分かった。



「承知致しました」



 返事をするマリーは私の専属メイドだ。とても可愛らしい顔立ちをしており年齢よりも幼く見られるが、今年で19歳になるらしい。ちなみに私が5歳の頃から専属としてついているので、主従関係は崩さないが姉と妹のような、友達のような関係でもある。



「それにしても赤いチューリップだなんて…レオナルド殿下はお嬢様のことを大層好かれておいでなんですね」



「え? そんなこと……ちょうど時期だからではなくて?」



 花束を受け取ってこちらに戻ってきたマリーが、微笑ましげにこちらを見る。



 確かに推しとして大好きだろうけれど……恋愛対象としても好きとは言ってたけど……それとチューリップに何の関連があるのだろうか。



「そうですね…。()()かもしれませんが、赤いチューリップの花言葉は ”愛の告白“ と ”真実の愛“ です。それに殿下の瞳の色でもあられますから」



 含みを持って笑うマリーに、私は少しだけ熱くなった頬を隠すようにそっぽを向いた。


 せっかく落ち着いたところだから、思い出させないでほしい…。



「ふふ、年相応のお嬢様を久しぶりに見ました。さあ、殿下がお待ちです。行ってらっしゃいませ」



 そう言ってマリーを筆頭にメイドたちに見送られる。物心ついた頃から一緒にいるマリーには、どうも敵わない…。



 少し火照った頬を冷ますようにパタパタと手で仰ぎながら、私は廊下を歩き出した。

本日で7日間連続投稿は終わりです。

これからは毎週金曜日と土曜日更新を目指していきます。

ただ、今週は金曜更新はなく土曜更新のみです。


そしてブックマークをしてくださった方、★をつけてくださった方、ありがとうございます!

★マークの催促はあまり好きではないので私からお願いすることはありませんが、読んでくださる方がいること。そして評価を押してくださる方がいること。

どちらも書き続けるモチベーションとなっております。

ありがとうございます!


自分が読みたい悪役令嬢の小説を書いてるだけでまだまだ拙い文章ですが、楽しんでいただけていたら嬉しいです。

投稿から一週間という節目に、この場にて皆様にお礼を申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ