逆転
・・・・え?
なんで昨日のPV40超えたん?
え?俺明日爆発するの??
え?え??え???え????
「アハハハハ!!人間狩り楽し過ぎる!!」
「畜生、テメェら姉ちゃんどこにやりやがった!?
離せ!離しやがれ!!」
青い翼のハーピーがドレッドを足で捕らえ
上空に運んでいる。
「えー、しょうがないな~ホラ」
ニヤニヤと不穏な笑みを見せて要求に応じて
ドレッドを開放した。
ここは上空、翼を持たない人間はただ落ちるのみ。
「ひっ・・・」
落下して生きていられる高度ではない。
後悔や恐怖がドレッドに駆け巡る。
「アハ!頭から落ちて綺麗に割れてね?
中身が飛び散るの見るの爽快なの!!」
「うわああぁあぁああぁあ!!!」
「アハハハハハハハハ!!!!!」
ドレッドの悲鳴とハーピーの高笑いが
辺りに木霊した。
同刻そこより離れた場所ではハーピーの集団と
ゴルドル率いるギルド連中が戦っている。
上空を見渡せば様々な彩のハーピー達が空を
覆っている。
「おい!ドレッドはどこに行った!?」
金色の鎧に身を包んだゴルドルが苛立った
様子で叫ぶ。
「さっきハーピーに連れていかれやした!!」
「チッ!やはりアイツは3戦士の面汚しだ」
「それよりゴルドルさん!ハーピーの数が
多すぎますぜ!!一旦坑道に逃げ込みやしょ!」
「駄目だ、先に隠れさせた抗夫に危険が及ぶ
絶対に坑道にあのハエ共を入れるな」
抗夫はあの街、ブラッドタウンにとって
ギルドと並ぶほど重要な人材である。
交易や生活水準を上げている面を考慮すれば
ギルド以上に重要かもしれない。
それを損なう事を心配してのゴルドル発言であり
そこに誰かを守りたいとかそう言った気持ちは無い。
あくまで失ったら痛手となる駒位の感覚だ。
「何人生きてる!」
「へぇ、8人でさぁ!弓3人槍5人!!」
「・・・弓は15人は居ただろう!!」
「それが、アイツ等弓持ってる奴を狙・・・」
ゴルドルに報告しているギルドの男の声が
途絶えた。目の前に居る白いハーピーを剣で切り払い
声の途絶えた後方を確認した。
喉と額に綺麗な深紅の羽が深々と
突き刺さっている。
「これで弓があと二人だけか・・・
どいつも無能の役立たずばかりだ!!クソ!!
散るな固まれ!互いをフォローしろ!!」
残ったメンバーを一か所に呼び込み
防御を固める。ハーピーはまだ10体以上残っている。
状況は絶望的だ。
「キャハハ!!人間必死過ぎてオモシローイ!!
あ、金髪のお前、いい男じゃな~い?
飼ってあげよっか?」
「ハエ風情にこの僕が?
はッ、寝言にしても厚かましいな」
「へ~、粋がっちゃって可愛いね、ボクちゃん♪」
深紅の翼のハーピーがゴルドルを挑発していると
紫のハーピーが割り込んできた。
他のハーピーよりも一回り体が大きい。
「なんだい?アンタ人間飼う気かい?」
「そう、セレナーデに世話させて~
それから目の前で八つ裂きにしてあげるの」
「ブハハハ!そりゃあいい!!
じゃあコイツはお持ち帰りだねぇ!!」
紫のハーピーは豪快に笑う。
「フン、豚のように汚らわしい笑い声だな
聞くに堪えん、死んで詫びろ」
ゴルドルが半笑いで手に小さい黄色いクリスタルを
取り出し剣の柄に挿入する。
「うっざ~、その妙な石まだ持ってたの?」
深紅と紫の二体のハーピーはつまんなそうに
鼻で笑うと天高く舞い上がる。
「逃げるか、腰抜けめ」
逃げた二匹と入れ替わるように複数のハーピーが
ゴルドル達目掛けて突撃して来た。
「僕としたことがこんなハエ如きに
クリスタルを全部使ってしまうとはな・・・」
ため息と同時に剣が黄金の輝きを放ち
辺りの空気が張り詰めた。
「感謝しろ、ハエ如きが僕に裁かれる
ことができるのだからな」
剣から魔力が溢れバチバチと音を立てて
弾ける。
「トールマン!!」
剣を天に突きあげると放たれた魔力が
雷となり飛翔する龍が如く空を駆け上がる。
「「え??」」
安全な高度まで上昇したつもりでいた
深紅と紫のハーピーを捉え、ゴルドル達の周囲を
飛び交っていたハーピーの大半も電撃の牙に穿たれた。
ハーピー達がこの世の終わりのようなおぞましい
叫び声をあげながら地面にボタボタと堕ちてくる。
「蘇生前に止めを刺せ!!」
ゴルドルの号令と見事な形勢逆転に
ギルド側の士気が一気に上がり墜落した
ハーピー達に追撃を加えて数を減らしていく。
「調子乗るな人間風情がぁぁぁ!!!」
紫のハーピーが地面に叩きつけられる直前で
声を張り上げ翼を豪快に羽ばたき寸での所で
墜落をなんとか避けた。
「醜いな、まだ抵抗するのか」
「死ねぇぇぇ!!」
紫のハーピーが翼を大きく横に振りぬき
自身の羽を飛ばしてきた。
当然ながら魔力でコーティングされ下手な
刃物よりもよっぽど切れ味のある武器となっている。
「無駄だッ!」
飛んでくる羽を剣で弾き飛ばしながら
距離を詰める。向こうもがむしゃらに
羽を飛ばしまくる。一枚がゴルドルの頬を掠めたが
その程度で怯むことはない。
冷静に剣に稲妻を走らせる。
「ライトニング・スティンガー!」
距離を詰め切らない位置での雷の魔力による
不意打ちの突き。
剣先から射出された電撃が紫のハーピーを
再び貫いた。・・・・・・・筈であった。
実際にはゴルドルの雷は相手には届かず
膝から崩れ落ちた。
「ブハハ・・・!私の羽は人間にゃ毒なんだよ!
掠るだけでも体の自由を奪うのさ!!」
「毒の・・・ハーピー!?き、聞いたことが
ないぞ・・・そんな・・奴・・・!!」
「ゴルドルさん!!」
止めを刺しきれなかったハーピー達が
再び空を舞い始めた。
紫のハーピーが他のハーピー達に指示を送った。
「全員皆殺しにしちまいなぁ!!!」
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種族紹介
理族
魔族以外の生物
魔族
生命維持のほぼ全てを魔力に依存した
生命の本来の理から外れた種族。
性別はなく繁殖力を持たない。
他種を惑わすためにどちらかの性別の特徴を持っている種類も居る。
ハーピーは男を惑わし喰らうため女性に近い姿をしている。
自然発生でのみ数が増える。
自然発生には2パターンある。
1魔力の溜まっている場所から自然に発生する。
2残魂を核に発生する。
残魂とは理族が魔族に殺害された場合、その魂まで
捕食されてしまう。その魂の破片が結晶化した黒いひし形の石のこと。
負の感情の塊であり、素手で触れると精神が蝕まれる。
砕かれるとその魂は完全に消滅してしまう。
今後の更新についてなんですが毎日更新は今回でおしまいです。
頑張った方ですぜ。
社畜なんでね、週一回の更新に切り替わります。
ごめんね。多分次回セレナーデが出てきます。
多分です、嘘つきガチ勢なので信じないで下さい。