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銀侠、いじめる

きのうの ぴーぶいは 6でした! 

こーしん した じかんが おそかったので きょうは はやく

とうこうしようかなって おもったけど むり でした!

しごとがあるから しかたないね!!


すいませんでした、切腹して詫びます。

ごめんなさい嘘です。切腹はしないです。

「はぁ・・・」


揺れる馬車の中、銀侠はため息をついた。


「なんだってオイラがこんな目に遭ってんだ?

なあ、お前さんどう思う?」


「え?いや~、仕方ないのではないですか?」


質問を投げかけられた案内人は

適当な返事に返した。


「うるせェ、野郎の話は聞いちゃねェ

黙ってろィ」


「えぇ~、貴方から話しかけてきたのに・・・

勝手な人だなぁ」


足を組みつつ貧乏ゆすり。


「まだ着かねェのか?」


「もう少(しで)うるせェって言ってんだろィ

黙ってろや」


「僕にどうしろってんだ・・・

早くボナ鉱山に着かないかなぁ」


案内人案内役務めること能わず

職務放棄して帰りたい衝動に駆られるも

ただ堪えていた。いと哀れ。


~ 一時間前 ~


「そういえば昨日弟さんにお世話になったわ」


(その話するのかよ・・・)


話を切り出したのはチャーラだった。

一見和やかな笑みだが事情を知ってれば

別の感情が見え隠れしている気がしてならない。


「ほんとですか!?でも昨日ドレッドは

街の入り口を見張ってたはずですけど・・・

あ、まさかチャーラさん帝国兵に襲われたんですか!?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


言葉を探す二人が顔を見合わせる。

銀侠は見えて無いのだが。


              でェ」

「「・・・まあ・・・そんな所

              ねぇ」


「やっぱり!ドレッドは強くて頼りになるもん!」


弟の活躍(笑)に喜ぶ傷心の姉。

誰が真実など伝えられよう。

こんなにも言い出しにくいことあるだろうか。


「そういえばドレッドが朝になっても帰って

来なかったんですけど何か知りませんか?」


「そのまま鉱山に行ったらしいよゴルドルと。

なんか鉱山にハーピーが出たらしいよ」


「ええぇ!?徹夜明けでそのまま行ったの!?

どうしよう!あいつエンチャントクリスタル

家に忘れてったのに!!と、届けに行かなきゃ!」


「待ちな」


席を立とうとしたクリスチーヌをチャーラが

制止すると銀侠の方へ微笑みかける。


「借金返す当てはあるかい?」


~ 現在 ~


「ったく・・・女の笑顔って怖いと思わねぇかィ?

見ろィこの袋、クリスチーヌの奴ァ弟に渡してくれって

オイラに石ころ押し付けやがった、めんどくせェ」


「・・・」


「なんか言えやオラ」


鞘で案内役の頬をグリグリしている。


「本当に僕はどうすればいいんだ・・・」


「喋んなって」


「畜生ッ!!アンタ僕をいじって

楽しんでんだろ!!いい加減にしろ!!」


道案内が声を張り上げると銀侠は何食わぬ顔で

「暇なんでィ」と答えた。


「もー・・・あ、ほら着きましたよ」


馬車から降りると土の匂いが強い。


『カン』『カン』『カン』


辺りに草木は少ないようだ。

ゴツゴツとした岩が目立ち正面に鉱山が

聳え立っている。


「この道を真っ直ぐ進めば設備が見えてきますよ」


「そうかィ案内ご苦労さん」


『キィィン』


銀侠が刀を鞘納めると甲高い金属音が鳴る。


「え?いつ抜い・・・」


案内役がいい終える前に肩に生暖かい液体が

降ってくる。次の瞬間案内役の背後から

女性の首が転がってきた。


「うわぁぁぁ!!!」


死に物狂いで正面にいる銀侠に飛び付く。

心臓が悲鳴を上げている、口から

飛び出してきそうなほど激しく脈打うち

手足がガクガク震えている。


「落ち着きねェ、良く見てみろ」


「は、はい?」


促されて地面に横たわっている首を跳ねられた

胴体に目を向ける。


まだ血を吹き血溜まりが出来ている。

すぐにでも目を背けてしまいたくなる光景だ。


「身体に黄色の羽毛・・・?

足も鳥みたいな・・・」


どう見ても人のそれではない身体。

その人との差違はハーピーの特徴と

一致している。


上空から滑空してきて案内役を狙っていたのだ。


「ま、魔族・・・ぎ、銀侠さんが仕留めたんですか!?」


「馬車じゃ散々いじめちまったからよ

こんぐれェの事はしねェとなァ」


「ぎ、銀侠さん、カッコいい・・・」


「うるせェやい、帰りは何とかすっから

他のが来る前に早く帰ェりな」


「は、はい!!有り難うございました!!」


案内役が馬車に駆け込み出発させた。

馬車を見送ると(見えてはいない)ボソリと一言。


「へへ、上手い事馬車代払わずに済んだなァ。

・・・さて、行くとするか」


「待て貴様ぁぁぁ!!」


自らの血で真っ赤になった羽毛から

血を滴らせながらハーピーは銀侠を

鋭い眼光で睨みつけている。


魔族は生命維持のほぼ全てを魔力に依存している。

首を落そうが心臓を破裂されようが魔力残っている

限りすぐに再生してしまう。


「・・・オイラは例え魔族でもべっぴんさん

(たま)取るにゃ抵抗があんでェ。

大人しく死んだふりしててくれや」


「黙れ!私の首を一度跳ねた程度で

図に乗るな!!」


引く様子はない。


ハーピーに限らず基本的に魔族は狂暴な

奴が多い。もちろん個体差はあるし例外も居る。

残念ながらこのハーピーは典型的な

魔族らしい性格のようだ。

話し合いに応じることはないだろう。


「一度跳ねた程度・・・ねェ」


ハーピーが翼から滴る赤い雫を払い

一歩踏み出す。


「やめておきな、動かない方が為でェ」


「人間風情が私に指図するなぁぁぁ!!!」


翼をはためかせて銀侠目掛けて飛び込む。

己の魔力を翼に集約し鋭利な刃へと変質させ

斬りかかる。


「俺は、おっと・・・オイラは忠告したぜ

動くなってよ」


ハーピーが翼を振り下ろしたが

その翼が無かった。ならばと反対の翼を。

それもなかった。だったら足でと、両足も

無くなっていた。


胴体が縦横四つに分かれる。再生した頭は無傷だ。

つまり、首を跳ねられた時既に体の節々が

薄皮一枚で繋がっているような状態だった。


空中で分解され肉片に変わったハーピーを

横っ飛びで躱す。


「バカだねェ動かなけりゃ、傷が塞がったってのに」


ため息交じりに一言そう零すとのそのそと

鉱山へ続く道を歩き始めた。

人物紹介


クリスチーヌ・アース・アーター


鍛冶屋を営む女性。


鍛冶の素材を厳選したいため鉱山に自分で掘りに行ってしまう

変人。ブラッドタウン随一の鍛冶の腕の持ち主であり

武器に魔力を宿す技術を確立させた偉人でもある。


ギルド3戦士のドレッドは血のつながってない姉弟である。

辛くてもよく笑う。ドレッドの前でだけ弱みをさらけ出して

自身の感情に素直になれる。


容姿がいい女性はギルド長ラースに呼びだされるのだが

ドレッドの姉と言うこともあり呼び出しはされてない。


ドレッドが死ねば容赦なく呼びつけるだろう。

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