楽園に至る道
はいはいPVガン落ちガチ勢のχダニャンです。
それではそれではそれでは!!!
昨日のPV発表です!!!
ドン! 10!! やったね!切りのいい数字だよ!!!
・・・・・・・・よっしゃ、ふて寝しよ。
「おじさぁぁん、トランプって知ってるかい?」
ギルト3戦士のピヨロが銀侠に金属のトランプを
見せびらかしてヒョホヒョホ笑っている。
「・・・」
ただの紙でさえ指を切る事がある。
実力者が扱えば凶器となりうる、それも金属
よもや紙ですらないが。
こんな状況でたかがカードと
油断などどうしてできよう。
「これがボクの好きなハートのカードで
これがぼくの嫌いなハートのカードで
これが僕の好きでも嫌いでもないハートの
カードどれが欲しい?一枚あげるよ」
数字は描かれていない、ハートの絵のみで
全部同じカードである。
「じゃあオメェの心臓でも貰う
かねぇ」
鞘の引き金を絶えず引き続けながらピヨロとの
距離を一気に詰める。
「ざぁんねん!!お前なんかにやらねーよ!!
バーカバーカ!!貰えると思った!?
じゃあこの僕のサイン入りのジョーカーを
差し上げよう!!光栄におもわなくていいザウルス!!」
自分の絵が描かれたカードを銀侠に投げつける。
勢いのある回転をするそれはカードというより
手裏剣といった方がしっくり来そうだ。
当たったら無事では済まない、鞘で叩き落し
更に距離を詰める。
「ああぁぁぁあ!!ぼくのサイン入りがぁ!
貴様絶対に・・・絶対に許す!!
あと500枚持ってるからねー!!
見る?ほらこんなに☆彡」
懐から片手に持てるだけのジョーカーを
取り出して殺しに来ている相手に自慢げに
見せつける。
「んなの見えねェなァ」
ピヨロの首筋を狙い刀を振るう。
だが手応えはなく刃は空を切った。
銀侠の前にジョーカーが何枚も落ちてくる。
「ちゃんと見てよもう♪」
(火薬のくせェ・・・!)
カードの仕掛けに気が付いた瞬間
銀侠は後ろに下がろうとしたが間に合わなかった。
「火薬絵最高ッ!レッドカード★」
鎌でジョーカーの絵を引っ掻いて火花を起こすと
爆発を引き起こしばら撒かれたトランプが
誘爆していく。
瞬時の判断で飛び退いたおかげで
全身が爆炎に包まれるのは免れた。
しかし爆ぜた空気が聴力を侵している。
金属音に近しい耳鳴りが銀侠の命綱を遮断した。
「ぐ・・・クソったれ」
爆発で弾かれたカードが腹と肩に刺さっている。
引き抜くと血が少し零れた、不幸中の幸いか傷は浅い。
爆ぜた火薬の臭いが辺りに漂うが
風がそれをすぐに攫って行く。
火薬の量はたかが知れているので火傷も
は大したことはない。
この技の狙いはダメージではないのだ。
『 』 『 』 『 』
鞘の引き金を引いても何も聞こえない。
(耳鳴りのせいでなんも聞こえねェ・・・)
鞘に刀を収め居合いの構えを取る。
悪あがきだ。それでも他に手段は浮かばない。
集中を削ぐ煩わしい耳鳴りの最中
それでも全身に意識を張り巡らせ極限まで集中する。
「ねぇねぇ気持ち良かったでショ!?
逝っちゃったんじゃない!?起ったんじゃない!?
出たでショ出たでショ!?ヒョホヒョホホホ・・・」
銀侠の前で己の仮面に手を掛ける。
「ほら、感謝して見ろ、俺の顏を。
極限の快楽の証を」
仮面を外しその顔を露わにした。
ズタズタに引き裂かれ、治癒を繰り返し
顏のパーツが歪になっている。
鼻は曲がり左右の目の位置はずれている。
舌は先端が二つ割れており歯は波打つ
ような生え方をしており咀嚼も
ままならないだろう。
一言で言ってしまえば醜い化け物だ。
「おい、恩人である俺を顔を見ろ
目を開けろこの恩知らずめ」
銀侠の首に鎌を添えた
手後ろに引けば首を跳ね飛ばせる状態で
相手が目を開くのを待っている。
鎌の刃が後ろに束ねた白髪交じりにの髪に触れる。
その感覚だけで充分だった。
ピヨロの武器の形状、刃が触れた向き。
その情報だけで奴は今、自分の目の前に立っていると
確信を持つ。止めを刺さない意図は不明だが。
鎌から伝う揺れ具合から柄を握っている場所を
おおまかに推測できる、柄の真ん中より
やや後ろを握っている。運よく悪あがきは成功したのだ。
白髪交じりの髪をなびかせ半歩前に出る。
「ひょ!?」
半歩という僅かな加速に乗せて相手の顔面に
頭突きをぶちかます。
「ブゴっ!!」
のけぞるピヨロに間髪入れず更に踏み込み刀の柄で
鳩尾突き後ろに大きく突き放す。
同時に頭を下げ後ろから来る鎌の刃を避ける。
まだ勢いは殺さない、2歩踏み込み鞘から
抜き放たれた銀の刃はピヨロの胴体を捉えた。
その刃が胴体に触れる瞬間、ピヨロを期待に胸を
躍らせる。これから押し寄せる快楽に焦がれて。
「雨入外道流、無華荒波」
「?」
刃が体を滑っていったはずなのに
なんの感覚もない、自身の体に手を当てて
首を傾げた。何が起きたのよくわからない。
『キィィン』
納刀と共に響く甲高い金属を合図に
道化の身体から血が吹き出す。
「ギェブアァァァアア!!!」
襲ってきた痛覚はピヨロの求めていた
それとは違う代物だった。
困惑と苦痛が臓物の底から
喉へ昇り口から悲鳴として吐き出される。
「ぎぼぢよぐない!!ぎぼぢよぐない!!
なんで?!なんで!?はおぁ!?おがじい!
ごんなの狂ってる!!これじゃ逝けない!
これじゃ起たない!!出ない出ない!!
エデンローズ!エデンローズエデンローズ!
違う・・・違う違うチガウ!エデンローズ・・・
あぁ、アプル様・・・どこですか!?
会いに行きます参ります!!
あぁ!ああ!!楽園に至る道よ
この俺を今一度その快楽の渦の懐へ抱いておくれ!」
『 』『 ン』『カン』
意味の分からぬ言葉を吐き続ける間に銀侠の
聴力が戻ってきた。
「・・・ようやく耳鳴りが止まったと思えば
ピーチクパーチク訳わからねぇ事喚いてら」
ピヨロはもう銀侠の事など眼中にないようだ。
痛いとエデンローズ以外の言葉を口にする様子はない。
『カン』『カン』
鞘を鳴らし己の耳の調子を今一度確めた
問題は無さそうである。
息の根を止めるため納刀したばかりの刀に
手を掛ける。
「止めて下さい!」
銀侠とピヨロの間に赤毛の女性が
息と短い髪を乱しながら割って入ってきた。
「この人は私の命の恩人なんです!!」
震えながら涙を零しながらその女性はそう訴えた。
人物紹介
チャーラ
酒場グリーンバードの経営者。
栗毛の長髪が似合う妖艶な雰囲気の女性。
身体を許すのは夫だけ。
帝国の戦闘に巻き込まれ夫を亡くしている。
最愛の夫を帝国に殺されたも同然だと
ブラッドタウンへ移り住む。
夫の夢だった酒場を代わりに開いた。
しかしギルド長ラースの命令を無視したことにより
圧をかけられ閉店寸前。