緑の鳥
仕事と、どう森のせいで執筆はかどらねぇ・・・
それはそうと前回更新時に初めてPV30を達成しました。
ありがとうございます。
おかげで気合入って前半部分は一気に書きあがったんですけど
後半燃料切れで遅くなった次第的な言い訳的なアレ的なそれです。
日が沈んで来た頃、チャーラは忙しさに
困惑していた。
「チャーラさん!こっちも注いでくれ~!!」
「はいはい、ただいま!!」
客に呼ばれてカウンター席の客に酒を注ぐ。
店内には客が大勢居る、こんなこと
この店を開いて初めての事だった。
「いや~、赤い変わった格好してた人に
助けられてさ、礼はいいからこの店で飲めって
言われたんだ、こんないい店
今まで知らなかったなんて!!ちょっと狭いけど」
今日店を訪れている人々は皆、銀侠に助けられた
人たちだ。鉱山に居た面々ではなく質の悪い輩から
助けられた一般人たちだった。
「あはは、お客さん一言余計だね」
「おーい!スープおかわりある!?」
「ありますよー!ちょっと待って!!」
火にかけた鍋をスープ用の深めの器に移して
客に提供する。減るペースが速くこの調子だと
品切れしそうだ。
「まいったね、こんなに客が来るなんて・・・
閉店するつもりだったのに」
「えッ!?店畳んじゃうの!?せっかく
通おうと思ってたのに!!」
「そうだそうだ!まだ畳まないでよ~!」
辞めないでと皆が口を揃えて言う。
所詮酔っ払いの戯言に過ぎないのだが
そんなこと言われたらその気になってしまう。
自分の事をチョロい奴だなと思うけれど
嬉しい感情のほうが圧倒的に勝るから仕方がない。
「あんたらちゃんと通ってくれる?」
「「「「もちろんですとも~!!!」」」」
店の中の酔っ払い共の声が打ち合わせしたのかと
思う位綺麗に同じ言葉を使った。
「じゃあ仕方ない、続けてみるかな・・・」
チャーラの言葉に店内は更に大盛り上がりになった
皆酒が進む進む。
「それにしてもなんで今まで客が
来てなかったんだ?こんなに上手い酒と
美人の店主居るのにさぁ」
「ラースに逆らったからだ」
店の入り口から聞こえた声に皆が振り返ると
盛り上がっていた店内は一気に静まり返った。
「な、なんでドレッドがこんな所に・・・?」
店内を見渡したあともう一度口を開く。
「クリスチーヌは無事か?」
ざわつく客たちには目もくれず一直線に
チャーラが居るカウンターの前まで移動した。
「いらっしゃい、昨日私をあんな目に遭わせておいて
一言目がそれかい?呆れるね」
「・・・その件は本当にすまなかった」
ドレッドが頭を下げるとチャーラはため息を
零した。
「店の裏だよ、ほら通りな」
カウンターの入り口を開けるとドレッドを
カウンターに招いた。
「ありがとう」
「はいよ」
カウンターの奥の部屋にある扉を開くと
店の裏の狭い路地に出た。
狭いため居心地は良くないが不思議と
よい風が通り抜けていく路地だ。
「ドレッド・・・!」
扉のすぐ横で膝を抱えて小さくなっていた
クリスチーヌが安堵の表情を浮かべた。
「姉ちゃん!良かった!!」
お互いの無事を喜び軽くハグしたつもりが
無事を思うと感極まってすぐには
手を離せなかった。
「姉ちゃん、怪我は・・・」
「ああ、銀侠さんから聞いてるのか・・・
大丈夫、乱暴されたけど大した怪我してない
して・・・・・な・・・・ぃ・・・・・・・・・」
クリスチーヌの声が涙に濁り弱々しくなる。
「いいよ姉ちゃん、大変だったろ?
大丈夫、今は俺しかいないから」
狭い路地に大きい鳴き声が響く。
朝からずっと押し込めていた感情が
決壊したダムのような涙になって
溢れ出した。銀侠の前で少し泣いて
収まったつもりでいたのに。
・・・・・それからどれぐらい泣いただろうか
涙が枯れ、ようやく気持ちが落ち着いた。
「ごめんね、情けないとこ見せちゃった・・・
私がお姉ちゃんだもんね、しっかりしないと!
・・・チャーラさん心配してるよね。
よーし、中に戻るぞ弟よ!!」
「なんだよその言い方・・・」
「えへへ、照れ隠し」
ドレッドに笑顔を向けて扉を開き中に戻っていく。
それをすぐには追えなかった。
「『弟』か・・・」
両手で顔を覆い建物に挟まれて狭くなっった
鬱屈としたような星空を見上げる。
「血は繋がってないんだけどな・・・」
俺には心に決めた人がいる。
でも願いが叶わなくても構わない。
その人が一番幸せになれる相手を見つけられれば
それで満足だ。
そう、満足なんだ――――――
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
「あー!!ようやく着きましたのね
日が暮れてしまいましたわ!!」
待ち望んだ街に向かって駆けだしたコリの手を
銀侠が掴んだ。
「なんですの?」
「街の入り口辺りに警備がいやがるんでェ
昨日入ってすぐにギルドの奴に襲われた」
コリの顏が歪む。
「本当ですの?話に聞いてた以上に
野蛮な場所なのですわね・・・」
「わ、私が入っても大丈夫かな・・・」
ボロいローブを纏ったセレナーデが
不安げな表情をしている。
ローブは男物らしくセレナーデが羽織ると
裾が地面に付いてしまっている。
その方が都合がいいの問題はないのだが。
魔族だとバレればただでは済まないと
この二人に教えられたので緊張して体が
強張っている。
「大丈夫ですわよ、それを着ていれば翼と
鳥みたいな足は完全に隠れてしまいますもの」
「そうは言っても小さい穴
結構開いてるし・・・」
「ま、なるようにならァな、オイラの後ろに
ちゃんとついてきな」
銀侠がズンズン歩みを進めるので慌てて二人は
それに続く。
街の門を潜った所でギルドの人間と思わしき
剣を持った男に呼びかけられた。
「ちょっとお前!!」
セレナーデとコリの方がビクンと飛び跳ねた。
ギルドの男がこちらにまじまじと眺めている。
(どうしよう・・・!!バレちゃった!?)
(はやくアッチいってくださいまし!!
心臓に悪いですわ!)
「お前もしかして、ボナ鉱山でハーピーを
撃退したって人か?」
「だったら・・・どうだってんでぇ?」
「どうって、決まってんだろ?」
ギルドの男が剣を抜きセレナーデとコリに
緊張が走り銀侠は刀に手を掛ける。
「この剣にサイン下さい!!!」
「・・・わりィけどオイラ盲目だから字ィ
書けねェんだ」
一行はあっさりと中に入ることができた。
「警備ザル過ぎませんの?チンパンジーの
方が賢いのではなくて??」
コリの言い分ももっともだが何は
ともあれ後はグリーンバードに向かうだけだ。
大丈夫だ、遅くても更新は止まらねぇ・・・!
おやすみ。