アヤカ
今日はクリスマスイブ。
カーテンを開けると、雲一つないキレイな青空が広がっている。
今日はイブを恋人や家族と楽しく過ごそうとワクワクしてる人達が、たくさんいるだろう。
その中でも、私が一番ワクワクしてるんじゃないかと思う。
だって今日は数ヶ月に一度の愛する人に会える日。
そして、その愛する人の誕生日。
クリスマスイブと誕生日を一緒に過ごせるなんて、
本当に夢のよう。
しかも、一泊二日のお泊まり。
年に一度の大イベント。
若干の緊張とワクワクで昨日はあまり・・・
というか、全然眠れなかった。
でも朝の目覚めはスッキリしていた。
寝てないわりに肌の調子はいい。
メイクをして、髪を整え、動きやすいけど、
なるべく可愛めの服を着て、
予定時刻に家を出た。
早い時間の新幹線に乗り、片道3時間ちょっとと、
そこからさらに電車で30分で着く。
会う時はいつも愛する人の最寄りの駅で待ち合わせをする。
駅に着いて、いつもの待ち合わせ場所に向かうと、
彼のほうが先についていた。
彼もワクワクしているのか、落ち着きない様子でソワソワしているのがわかった。
彼の姿を見つけた瞬間、私の胸は高鳴った。
「ナオト!」
と呼ぶと、すぐこちらを向いて少し照れた笑顔で私の元へ駆け寄ってきた。
「お母ちゃん!」
そう言って、しゃがんでる私に抱きついて、
久々の再会を喜んでいるようだった。
私もナオトを思いきり抱きしめ、
久しぶりのナオトの温もりと香りを胸いっぱい感じた。
「ひさしぶり、ナオト。元気にしてた?」
と聞くと、
「うん!ナオト、元気やったよ。お母ちゃんは?」
と聞かれ、
「お母ちゃんも元気やったよ。」と返事をした。
それから立ち上がり、ナオトと手を繋いで、
すぐそこで見ていた元旦那の元へ行き、
「ひさしぶり。」
とお互い声をかけた。
元旦那とは結婚して10年一緒にいた。
そして、2年前ナオトが2歳の時に離婚した。
これといって夫婦仲は悪くなかったが、
私の勝手で上手くいかなくなって離婚にいたった。
数ヶ月に一度、ナオトに会うという約束をして。
離婚してからも時々ナオトと電話で話したりはしていた。
そんな日々を過ごしながら、今日という日をやっと迎えた。
泊まりで一緒に過ごすのは、今回が初めてだった。
大きな遊園地のすぐそばのホテルを半年前から予約していた。
車で向かい、まず荷物を置くためにホテルにチェックインした。
部屋に着くと、ナオトが靴も脱がずにテンションMAXで入っていった。
「ナオト!靴!靴!」
そう言って止める私達にナオトは嬉しさいっぱいの様子で、
「お父ちゃん!お母ちゃん!部屋にいっぱいナオトの好きなのがいっぱいおるよ〜!」
とはしゃいで部屋中を見回していた。
「そうやなぁ。今日はここでお泊まりすんねんで。」
と言うと、ナオトは両手をあげて、
「やった〜!!」と目を輝かせて嬉しそうにしていた。
ナオトのこの嬉しそうな笑顔を見たくて、
私は毎日がんばってきた。
ナオトが喜んでいる姿を見たら、
日々の辛さなんか一瞬で消えた。
「よし!じゃあ荷物置いて、遊園地行こうか。
そこ行ったらナオトの好きなの、もっといっぱいおるで。」
「ほんまに?!行きた〜い!早く行こう!早く!早く!」
と待ちきれない様子で私の手を握り、
ナオトはワクワクしているようだった。
遊園地に着くと、どこに行くかもわからないのに、
はしゃぎまくって、
とにかく先へ先へと行こうとするナオトの手を握って、
「ナオト、そっちちゃうよ。こっち、こっち。」
と言いながら、
ナオトが好きなキャラクターのアトラクションの方へ向かった。
そこへ着いたら、ナオトのテンションはもっと上がった。
いろんな乗り物があり、いろんなゲームもあったりで、
どれからすればいいのかわからなくなるほど、
ナオトはキョロキョロしていた。
その様子がおかしくて、可愛くて私もずっと笑っていた。
ナオトが乗りたい物、やりたいことを、
ひとつひとつやっていった。
「お父ちゃん、これすごいねぇ!」
「お母ちゃん、楽しいねぇ!」
そんな言葉がずっとナオトの口から止まらなかった。
あっちこっち行って、お昼ご飯を済ませた後も、
ナオトのテンションはずっと高くて、
大人の私達はついて回るのがやっとだった。
でもナオトの楽しそうな姿を見てると、
疲れは全く感じなかった。