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 『作戦の開始』


[前回のあらすじ]

 京佳にミユの本当の正体を隠そうとした実連。しかし、結局はバレてしまう。そんな茶番を演じた彼女らであったが、ミユから改めてお願いをされる事に!




「どうしたの改まって?」


 真剣な表情で突然願い事があると言われ困惑する実連。京佳もまた、気になる様子で首を傾げていた。

 そんな二人の顔を代わる代わる見だ後に目を閉じて一息吐くミユ。そして再び目を開き、そして口を開く。


「実連には少し話した事だが、私の国に戻るために力を貸して欲しい。色々面倒ごとに巻き込んでしまっているのは本当に済まない。事が終われば礼をしたいと思ってる。だから、どうか——」


 彼女が頭を下げようとしたその時、彼女は突然体を抱き締められて驚く。抱き締めた本人である実連は笑顔で彼女に言った。


「当たり前だよ! 私達はもう友達でしょ? 協力しないわけないじゃん!」

「まあ、色々あるみたいだけど、私も手伝うよ。貴方の友人としてね」


 そう言ってミユの頭をポンポンと叩く京佳。ミユは嬉しさから涙を目に溜めて頷いた。




 ◇   ◇   ◇    ◇   ◇   ◇




 ——キャリー王国の城の玉座の間にて。数人の見張りがいる中、四匹の猫達がある作戦を企てていた。そして今、それが実行されようとしている。


「よし、それじゃあ作戦通りに」

「おう! 任せとけ!」


 青のペンダントを首に付けた猫に言われ、堂々とした態度で任務を請け負う赤のペンダントを首に付けたソウ。作戦実行の為、一芝居打つといった内容であった。

 四匹は互いに頷いて、作戦を開始した。


「あー! 痛い痛い!」


 突如声を上げたのはソウである。彼が突然上げた大声に、監視役の一人が彼の入っている檻へと近付いてくる。そして監視役は、ソウが腹を抑えてゴロゴロと寝転がっている事に気が付く。


「うるさいぞ。いったいどうしたんだ」

「お、お腹が痛くて…イタタタ!」


 どうしたものかと悩む監視役。ここでされても困ると考え、檻に手をかける。そして檻の出入口を開けてソウに触ろうとしたその時、待っていたかのようにして彼は監視役に飛びかかり引っ掻いた。


「まんまと掛かったな!」

「ソウ、早く開けてくれ」

「言われなくとも!」


 ソウは一回転して猫耳と尻尾が生えたままの低身長の少年へと姿を変え、他の三人が捕らえられている檻を開ける。その動きは素早く、あっという間に三つの檻の出入口を開けた。


「くそっ、逃がさんぞ!」


 突如起こった出来事に判断が遅れたものの、脱走した彼らを捕らえるべく他の監視役が魔法を詠唱し始める。しかし、監視役は何者かによって背中を蹴られ、そのまま地面を引きずって気絶した。


「ナギ! ナイスッ!」


 その何者かの正体は、首に黄色のペンダントを付けていた猫である。彼女もまた猫耳と尻尾が生えているものの、少女の姿へと変身していた。

 一方で青いペンダントを首に付けた猫は人の姿にならず、ソウの頭の上へと乗っかっていた。


「シンは人にならないの?」

「この姿の方が楽ですからね。それに今の状態だと戦闘には参加できないですし、足手纏いになるよりかはいいかと」


 なるほどと納得したように頷くソウ。そんな彼の頭の上にいたシンは、案の定揺らされた。また一方で緑色のペンダントを付けた猫もまた、人の姿にはならずにいた。


「ハナもシン君と同じ?」

「大体はそうですの。武器である魔導書が無い以上、力が発揮出来ないですの」

「となると、まずは武器を取り返しに行くか」


 掌に拳を当てて気合いを入れるソウ。だが、そう簡単に探させてもらえるわけもなく、玉座の間の出入口に数人の人が集まってくる。


「まあ、そう来ますよね」

「ここは強行突破かな?」

「問答無用で通らせてもらうぜ!」


 ソウが地面を蹴って飛び掛かると同時に、シンは彼の頭から飛び降りる。立ちはだかる彼らの戦法は魔法。一方で飛びかかったソウの戦法は格闘。小さい体での攻撃とは思えない程の威力で打撃を加え、詠唱が完了する前に次々と倒されていく。


「よし! このまま行くぞ!」

「でもいったいどこを目指すですの? この城は広いですのよ?」

「それなら大丈夫。ソウが戦ってる間に監視役が触っていた機械で調べておきました。どうやら、地下の倉庫に保管されているらしいです」

「地下って事は、みんなが閉じ込められている牢屋もあるんじゃないかな?」

「とにかくだ。地下に向けて走るぞ!」


 ソウの掛け声とともに、彼らは地下へ繋がる階段を目指して走って行った。



 走る事数分。道中いた見張り役を蹴り飛ばしつつ、地下へと繋がる階段の前へと辿り着く一行。

 まずは身軽であったシンが偵察に階段を降りていく。階段を降りた先には、一本の通路とその先に分かれる二つの道があった。そしてその通路は、石壁に立て掛けられた松明によって照らされていた。


「見張りは居なさそうですね。皆さん、付いてきてください」


 シンを先頭にハナ、ナギ、ソウと一列に並んで暗がりの通路を歩いて行く。そして分岐点に着き、左右を確認する。

 まず左を確認すると、"保管庫"と書かれた壁に掛けられた看板の下に入口があった。恐らくそこに武器などの類があるだろうと推測する。

 そして右には石壁に通路が続いていた。その先を確認する前に、彼らは保管庫へと足を踏み入れた。


 ——保管庫。武器だけでなく食料も保管されているその部屋は、それほど広いものではなかった。そしてハナは早速、魔導書を探し始める。他の三人もまた探しがてらに倉庫を見上げて回っていた。


「あ! あったですの!」


 ハナの見上げる棚の上には、歪な様子を見せる一つの分厚い本があった。そしてハナは猫特有の身体能力の高さで意図も簡単に棚の上に駆け上がり、本の横へと辿り着く。


「シン、落とすですの」

「あ、待ってください。まだ人の状態じゃ…」


 彼女の発見の声にいち早く駆け付けたシンは、彼女の乗っていた棚の下に居た。だが、突然本を落とすと言われ受け止めようとしたが、間に合わずに下敷きにされてしまう。


「おーい! ってありゃ、シン大丈夫か〜?」

「ごめんなさいですの! はしゃぎ過ぎたですの…」

「あたたた…大丈夫大丈夫。気にしないでください。僕は無事ですから」


 ハナを宥め、彼女に謝らせるのを止めるシン。だがそんな彼らに、危険が訪れる事に——。




赤のペンダントを首に付ける元気なソウ。

青のペンダントを首に付ける冷静かつ穏やかなシン。

黄のペンダントを首に付ける明るく活発なナギ。

緑のペンダントを首に付けるおっちょこちょいでお淑やかなハナ。

彼らは魔女キキから逃れる事は出来るのでしょうか。

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