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 『魔女の目論見』


[前回のあらすじ]

 実連は黒猫のミユとの契約を果たした! 以上ッ!




 場所は人間界から変わってミユの世界の国、キャリー王国。その王国の象徴とも呼ばれる大きな城の玉座にて、足を組みながらワインの入ったグラスを片手に不気味に笑う女性の姿があった。


「うふふ…この国の者達は魔法が得意で強いと思っていたけど、大した事なかったわね。五人の賢者がいたけれども、私にとっては普通の子猫ちゃん同様。おーっほっほっほー!」

「キキ様、ご報告します。御命令通りに、この国の者達を地下の牢屋に閉じ込めました」

「ご苦労様。それで、賢者達は?」


 上機嫌に笑っていたキキであったが、報告されたその内容に言葉を失い、怒りを露わにする。


「なにぃ⁉︎ 一人逃したですってぇ⁉︎」

「も、申し訳ありません。当時追っていた二人組のうちの兄貴分のポルーによりますと、僅かに残っていた魔力を振り絞って逃げられたの事。今総動員で探しているのですが…」


 ますます機嫌を損ねるキキであったが、別の下っ端が部屋に入って来て別の案件について報告をする。


「失礼します。人間界監視本部によりますと、転送させた戦闘機が何者かによって破壊されたとの事。人間界にあれ程のものを壊せるものは居ないとの事で、恐らく逃げた賢者かと思われます」


 賢者の情報を得たとの報告で、少し機嫌を戻すキキであったが、横から言葉が入れられる。


「やっぱりミユは無事だったんだ!」

「アイツ結構古臭いヤツだけど、何故か俺達より頭がキレるんだよな」

「まあ、実際のところ彼女が一番強いですからね」

「きっと助けに来てくれるですの〜」


 その声の主達は、五賢者のうちのミユを除いた四匹の"猫"である。彼らはそれぞれ首に赤、青、黄、緑のペンダントを付けていた。

 しかし、彼らは現在キキのいる王の間にて特別な牢屋に閉じ込められていた。その効果は、その中に入れられている者は一時的に魔力を失い魔法が使えなくなる効果である。

 賢者であるという事は、誰よりも力を持っているという事。キキなりに考えた特別な檻である。たが、彼らの言葉にキキは怒りと共に叫ぶ。


「うるさいぞ子猫達! 檻の中なら何でも言えると思うんじゃないよ!」

「うるさいのはそっちだババア! 俺達の世界で好き勝手しやがって!」

「ほ〜? 威勢だけはよろしいようだね子猫ちゃん? どれ、お仕置きを受けてもらうよ」


 キキは檻の中に入った赤色のペンダントを付けた猫をにらめ付けながら、片手でその場にいた部下に指示を出す。すると檻の底から機械の手のようなものが出て来る。


「な、なんだってんだよ!」

「ふふふ…さあ、やっておしまい!」


 キキの指示と共にレバーが降ろされる。するとその手が動き出し、次第に猫に近付いていく。猫は威嚇しながら手をにらめ付けていたが、体を押さえ込まれてしまい身動きが取れなくなる。そして次の瞬間、猫は大笑いをした。


「あははは! 擽ったい! た、頼むから、やめてくれぇぇぇ!」

「どうだい、思い知ったか! その檻の中で私に刃向かったらそうなるって事、よーく覚えておきな!」


 高らかに笑いながら部屋を出ていくキキ。残された監視役の部下と閉じ込められた賢者達。キキがいなくなったのを見て、三匹の賢者達は罰を与えられた仲間の様子を伺う。


「ソウ、大丈夫かな?」

「大丈夫…ではなさそうですね。この調子じゃ作戦を練れそうにないなぁ…」

「何か案があるですの?」

「しーっ。奴らに聞かれたらマズイですから、静かに話すように頼みます。とは言っても、まだ構成途中なので、彼が起きるまである程度考えましょうか」


 彼らは出来るだけ近くに寄ってコソコソと話し始めた。




 ◇   ◇   ◇    ◇   ◇   ◇




「——とまあ、儂には四匹の仲間がいてだな…」


 所戻って実連の住むアパート。契約を交わした彼女達は夕食を食べながら、お互いの事をより知るために適当な雑談をしていた。そんな雑談の中で、実連の質問でミユの世界はどんな感じだったのかを問われて詳しく話していた。そして次第に話は深掘りされ、ミユが賢者である話、更にその賢者は彼女を含めて五人いるという事を話していた。


「しかし…彼らは恐らく悪い魔女に捕まってしまっただろうな」

「悪い魔女って、ミユの国を襲った?」

「そうじゃ。実は彼女と私には、ある繋がりがあってだな…」


 ミユが話を続けようとした時、突然として室内に着信音が鳴り出す。ミユは不機嫌そう且つ不思議がっていたが、実連は慌ててスクールバッグに入った携帯を取り出す。取り出したなり携帯電話の画面に触れ、その着信に出てから返事をする。


『あ、もしもし実連? やっと出てくれたー。さっき電話したんだけど、気付かなかった?』


 通話相手は彼女の友人の京佳である。京佳の質問に首を傾げていると、彼女は入浴中であった事を告げる。それなら仕方ないと、京佳は彼女を宥めた。


『——それで…明日はヒマ?』

「別に用事は無いけど、なんで?」

『決まってるでしょ。昼の事について話したいの。それに久し振りに実連の家に遊びに行きたいし〜』


 家といってもアパートであるが…と思っていると、彼女はある事を思い出す。ウチには居候の少女がいる事を。


「あー! や、やっぱり私明日用事があって…」

『えー? またまたそんな事言って〜。それじゃあ、明日のお昼一時頃にお菓子とか持っていくから。それじゃあね〜!』

「ああ、ちょっと! ——切られた…」


 彼女は何かを言おうとする前に通話が切られてしまい、泣く泣くその場に座り込む。すると彼女の手に暖かくフワフワした毛の感触がする。そう、猫状態のミユであった。


「ありがとう。まっ、今考えても仕方ない。今日はもう疲れたから、ぐっすり寝てから明日考えよう」


 彼女は食器の片付け、歯磨きなどを済ませて就寝した。




主人公ちゃんは意外とおっちょこちょいでマイペース。そんな性格が悲劇を起こしかねないのである。

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