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時は少しさかのぼり同日の正午(日本時間で午前四時ぐらい)アメリカのとある会場で、ゲームの世界大会が行われた。そして、朝から続いた白熱の戦いを見せ午前の大人の部が終了してお互いの戦いを讃え盛り上がっている。
『只今より表彰式を執り行います。皆様ご着席ください』
と、大会アナウンスが聞こえてきて会場にいた人たちは皆、思い思いのところに座り今か今かと今回の大会の優勝者を待っていた。
そして、舞台袖からこの大会において話が長くて有名な司会の太ったおじさんが出てきた。
『皆さん今年もいい戦いでした!個人的にはあの第2回戦での……なんだって?話が長いから早くランキングを発表しろと?了解しましたぁ!ではでは!発表して行きましょぉーう!』
と、ハイテンション司会者によって表彰式が進行していく中、1人舞台袖で電話をしている男(?)がいた。そんな彼の名前は皆川 涼、大会の賞金と極秘の依頼で生計を立てて生活している。プロゲーマー(?)である。そして、電話の相手は根尾 晶。彼は涼の幼馴染で涼がプロゲーマーになったきっかけでもある。
『そしてー!今大会のナンバーワンはー…』
言葉に合わせてドラムロールがどこからか聞こえてきた。
「あ、じゃぁ表彰式行ってくるねバイバーイ」
『去年から引き続きRYOU選手だぁ!今回で6連続優勝おめでとうございまーす!ではこちらにどうぞ!』
そう司会が言うと涼は舞台に姿を見せ1位の表彰台に上った。そして、その瞬間会場にいる涼のファンの人達からから大きな拍手が沸き起こり歓声が聞こえてきた。その後、賞状とメダルをもらい式の幕がおりた。
「はぁ、何回上がっても舞台の上はなれないもんだなぁ」
と、ため息混じりに呟きながら廊下を歩いていると司会のおじさんが汗を拭いながら話しかけてきた。
「いやぁーさすがRYOUさん陣取りゲーム6連続優勝と『キラーVSキラー』で3連続優勝おめでとうございますぅ」
「キラーVSキラー」とは、銃・剣・魔法全て有りの20人同時対戦のゲームである。「作ろう王国、救おう世界」を作った会社が1番最初に出したフルダイブ型戦闘ゲームで今では世界大会が行われるまでの人気ゲームとなっている。
「ありがとうございます、よくご存知ですね」
「えぇ、もちろんですともこう見えてわたくしはあなたのファンなんですよ…では!次回の大会も期待してますよ!」
と、言うと何処からか扇子を取り出し扇ぎながらどこかへ行ってしまった。
「あ、ありがとうございます……」
少し引きながらもおじさんの背中にお礼をいって涼は楽屋に戻り荷物をまとめた。
「さてと、早いとこ家に帰ってゆっくりしたいし、早く晶にも会ってゲームしたいからササッと飛行機乗ってかえろーっと」
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と、一気に場所は変わり飛行機に乗って5時間ほどたった太平洋上空の飛行機の機内、
優勝賞金が意外と高かったためたまには贅沢しようと涼は現在ビジネスクラスに座っている。
「いくら優勝賞金が高くてもなんかファーストクラスは乗る気になれないなぁ、やっぱりビジネスクラスがちょうどいいや」
と、スマホを片手に窓の外を見て独り言を呟いた。
(そういえば、日曜日って午後の何時集合なんだろ)
ふとそう思い晶へ『日曜日は何時集合なの?』と確認のメールを送った。晶は未だにスマホを使っていないためこうしてメールを送らなければならないのだ。
(はぁ、晶もそろそろスマホ使って欲しいなぁこのままだと人類最後のガラケーの利用者になっちゃうよ……まぁ、それはそれで面白いか)
そう考えながら涼は睡眠を取ろうと寝に入った。
が、眠れず結局羽田空港に着くまでずっとスマホゲームをしていた。そして再び場所が変わり今は新宿にある自宅に戻るため電車に揺られている。その時の時刻19:38、さすがに大会に対するワクワクであまり寝れていなかったせいか寝不足でウトウトしながら乗っていた。その後、1駅乗り過ごしたがタクシーをつかまえてやっとの思いで家に着きおそらく8時15分、涼はベッドの上に寝そべっている。
「それにしても、返信遅いな。まぁ、いつもの事だからそんな心配はしなくていいか…。」
そう、晶はいつも気が散るからと言って携帯の電源を切る癖があるため返信がしょっちゅう遅くなるのだった。
「ま、そのうち返してくるだろうから寝ちゃって大丈夫か」
と、まだ晶が異世界に飛ばされたとは知らない涼はそのまま寝てしまった。
そして、約束の日曜日、この日まで連絡は一切取れず涼は不安を抱えつつとりあえず午後1時にいつもの新宿駅近くのゲームセンターに行くことにした。が、しかし、いくら待っても晶は連絡もよこさずゲームセンターにも顔を出さなかった。さすがに連絡がつきづらい晶でも人との約束を忘れることは今まで1度も無かったので涼の中で嫌な予感がよぎった。涼は大急ぎでバイクにまたがり彼の家がある中野方面へ向かっていった。
(頼むからこのやな予感は外れてくれ)
そして、晶の住んでいるマンションの部屋の前まで来てインターホンを押して晶を呼び出した。やはり反応がない。そして、ダメもとでドアノブに手をかけ開けようとしたその時
ガチャ
(鍵が開いてる…)
リビング、お風呂場やトイレくまなく探して最後に残った晶の寝室。涼は一気に開け放った。が、
「晶!…え?あれ?いない…?じゃぁ一体どこに?」
そして、考えたが部屋の違和感に涼は気づいた。
(あれ?何でダイブマシーンとパソコンが繋がったまま放置してあるんだろう。それに、カップラーメンがまだ残ってる…いつもならご飯入れて締めとして食べてるのに)
涼は、晶がゲームをしていない時にダイブマシーンをパソコンから取り外して机の中に入れるのを遊びに来てる時に何度も見ているのでこれには直ぐに気づいた。カップラーメンに至っては麺が伸びきっていて食べれそうにないので涼がすぐ捨てた。
(悪いけど手掛かりがあるかもしれないからね開かせてもらうよ晶)
しかし、パスワードロックがかかっている
「はぁ、やっぱりか、まぁしょうがないよね」
そう言うと涼はポケットから謎の端末を取り出して晶のパソコンに繋いだ。
「はぁ、日頃からハッキングツールを持ち歩いておいてよかった…。プロのハッカーたる者いつでもハッキングできるようにしてないと、いざという時にハッキング出来ないからね」
と、犯罪者みたいな考えを呟きながら涼は苦戦することも無く晶のパソコンのパスワードを開けてしまった。ちなみに涼は色々な方面の人から極秘の依頼を受けては色んなところをハッキングしている為、既に犯罪者である。そして、そんな涼が晶のパソコンをひらいて1番最初に目にしたものは…、
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システムデータダウンロード100%完了
キャンセルが選択されなかったためゲームクリア特典の
本作のゲーム内への転送を実行しました。
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「え?なに……これ……なんかの冗談?……そうだ、運営に」
しかし、何度かけても誰一人出ず。「この番号は現在使われておりません」と、流れるだけだった。そこで涼は、自分のいつも持ち歩いているノートパソコンにいれているだけになっていた「作ろう王国、救おう世界」へログインした。
「ん?ログイン出来るってことはまだ会社は存在する…?場所を変えたのか?まぁ、開けるならいいや晶の事だから多分…」
次は晶のパソコンからバックアップデータを探し出した。そして、それを自分のノートパソコンに移してゲームを再起動させた。しかし、すぐに「アバターがありません」と警告画面が出てきた。
「あれ?晶のアバターがない?んー、確かこの会社って全部のゲームで同じキャラデータ使えたんだっけ?しょうがないか…キャラは『キラーVSキラー』のやつ使うか…」
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RYOU(男)Lv.100/100
職業:空間魔法師(UHR)
防具:高性能光学迷彩の髪飾り、MP増加・回避能力上昇の戦闘服
メインウェポン:RSHm50s変形銃
サブウェポン:なし
スキル:空間魔法 Lv.MAX
スタイル:フリー
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「『作ろう王国、救おう世界』ってキャラ強化のためのゲームでもあるからこれやった後に『キラーVSキラー』やったら無強化勢の人達に冷たい目で見られるんだろうなぁ後でキャラ作り直さないと」
そう呑気なことを言いながらもキャラを完全に移し終えてクエスト画面を開いた。そして、涼の読み通りそこにあったのはラスボス前のバックアップデータだった。
「さて、運営へのメールは……よし、こっちは通じてる」
そこで涼は、「ゲームのクリア特典のゲーム内への転送これはどうゆうことですか?」と送った。そして、そこから数分後思ったより早く返答が来た。その返答は「当ゲームをプレイして頂き誠にありがとうございます。転送の件は一度行ったら戻って来られない仕様となっております。それでもよろしい場合のみ転送を受けてください。尚、一点訂正があり転送先はゲーム内ではなく、ゲームの世界に似た異世界となっております。」という機械的な内容だった。
「んーと?なんかあたかもそれが普通かのように淡々と書いてあるけど異世界に転送されるゲームってなかなか不味くない?仮にこれが本当だとしたら晶は今異世界にいるってことだよね?」
そこで、涼は今の充実(?)した生活を選ぶか、全て捨てて異世界へ行って幼馴染と共に異世界を満喫するかを迷った。そして、数分迷った末、晶の元へ行くことを決めた。決めたらその後の涼の行動は早かった。早速ノートパソコンにダイブマシーンを繋いでRYOUになりラスボスの討伐クエストへ向かっていった。
「この洞窟かなり王都に近いなぁ……。へぇ!?雑魚の量多すぎでしょ!?晶はこの量を突破したのか…やっぱり晶は強いなー」
そう感心しつつもRYOUはチェンジャーを通常モードから連射モードであるAKm30bへと変形させて確実に雑魚を倒して行った。RYOUの銃は変形銃なので見た目がハンドガンからAKMのような形に変わっている。
「はぁ、雑魚が強すぎ…。ここまで来るのに回復薬3本も使っちゃった…ボス戦大丈夫かな…」
片手に回復薬を持っていつでも回復出来るようにして鎖や龍などが装飾されている扉をゴゴゴゴという音を立てながら開けて入った。そして、RYOUが部屋に入ると早速タコみたいな形のボスが氷の塊を大量に放ってきた。けれど、空間魔法師であるRYOUはその全ての氷の塊をボスの横に転移してそのままボスの側面に向かってゼロ距離で撃った。しかし、ボスの体力は1ミリも削れなかった。
「え!?ダメージが入らない!?」
そう驚きつつもボスの頭上に視点を向けて場所を定めてボスの頭上に転移を実行した。するとそこにはこのゲームで弱点を示す星マークが普通より少し小さめに光っていた。
「こんな狙いづらい所に弱点とか普通じゃキツイんだろうな」
そして、ゼロ距離射撃を繰り返してやっと1ゲージ削りきった
「……。体力も多い…、しかも、でかいくせして意外と速いから回避がたまに間に合わない。いったい晶はどんな装備で来たんだろ」
その後も、ボスのスピードや攻撃力、いろんな方向からの攻撃に苦戦しつつもなんとかボスの体力を削り遂にラストゲージまで来た。
「はぁ、強すぎでしょ。それに動きずらいし、やっぱり会社が同じでも操作環境とか当たり判定とか微妙に違うんだなぁ。いつもなら避けられそうな攻撃も避けきれないや」
そう口にしつつ攻撃を続けた。RYOUはただひたすら弱点を攻撃した。しかし、何発か撃った時、RYOUはボスのHPゲージが1ミリも削れていないのに気づいた。
「えぇー!?削れないの!?晶これどうやってクリアしたんだろ」
そこからかなり攻撃したがボスのHPゲージが削れず5分ほどたった。RYOUは公式サイトに「このクエストはアルファベットシリーズのAをGETしないとクエストがクリアしずらい仕様となっております」というコメントがあったことを思い出した。そして、アルファベットシリーズのAはまだ誰も手に入れていないため武器の特徴と武器のスキル名しか公開されていない。RYOUはそこから推測しだした。
「Aの設定が鍵ってことだ…んーとスキャンした物への変形が可能で武器スキルがえっと…アローレインだから矢の雨…わーもしかして弱点を同時にやんなきゃいけないやつかな?だとしたら普通じゃ無理なはずだよ」
と、少し笑いながら言うと突然ボスの動きが止まった。
「お、ちょうど麻痺が効いたか」
RYOUはチェンジャーを連射モードに切り替えながらそう呟いた。そして、転移魔法を複数展開して入口を銃口に出口を弱点の目の前になるように意識を集中させ転移中に少し遅延して全て同時に当たるように別の空間魔法もかけた。
全てが繋がったのを確認してRYOUはチェンジャーの引き金を引いた。RYOUはAKMの形に変わっているチェンジャーが放ち続けている白い光の塊が銃身を熱で溶かしだすギリギリのとこまで撃ち続けた。そして遂にクエストをクリアして現実へ復帰した。
「うぅー、すっごく頭痛い。この前も『キラーVSキラー』のチーム戦やった時に使ったけどその時も痛くなったんだっけ。やっぱりこのゲームは頭を使いすぎるとダメなやつかも」
そう頭をおさえつつも涼はゲームクリア特典である異世界転移のデータダウンロードを実行しているのを確認した。そこで、また別のノートパソコンを取り出し1つのプログラムを立ち上げて5分後に発動するようにセットした。
「よし、これで晶に会える…。…なんか、この台詞だと晶が好きなやばい感じの女子だな、だから10代の女子っぽいって言われるんだろうなー。」
そう、彼は37歳を感じさせないほど見た目や声、口調が若々しく大会などではよく男性のプロゲーマーさんに告白されたりもする。(涼は男です)
「はぁ、さて!データダウンロードが100%になったしプログラムもセットした!この世界へ心残りはない!いざ!異世界へ!レッツゴー!!」
そう言いながら機械をセットしイスにもたれ掛かるとすぐに涼の姿もこの世界から消えてしまった。そして、4分後……。
東京都内のとあるビルの中にあるとある会社
「ハッハッハッハ遂にクリア者がでたか…やっとだ!成功だ!ハッハッハ」
ワインを片手に夜景を眺めながら喜ぶ男がいた。しかし、そんな喜ばしい出来事も続かなかった。
「社長!大変です!ウイルスがプログラムを!」
突然、社員が慌てて入ってきた
「なんだと?そんなのササッと駆除してしまえばいい」
「それが、不可能なんです」
「なら、今使ってるサーバー破棄して別のサーバーにバックアップすればいい」
「ダメです。間に合いませんでした」
「残ってるデータは?」
「…ありません…。」
その返答を聞き男はグラスを落とし、社員の胸ぐらを掴んだ。
「なんだと?サーバーのセキュリティはかなり複雑なはずだ!そんな易々と破れるわけが無いだろ……。ほんとに何も残ってないのか?」
「は…い…」
「くっそ…ここまで来たというのに…何がどうなってんだ…。このれじゃあの御方に消されてしまう…………。」
同時刻この会社同様涼が関わった会社や政府、裏の組織や涼のパソコンに晶のパソコン、それぞれが抱えるサーバー内のデータ全てが5分前この世界から姿を消すまえに涼が仕掛けたプログラムにより再起不能なまでに破壊されてしまい世界が大きな混乱に陥った。
そんな大混乱を起こした張本人であるRYOUは無事に転移を完了させて、現在荷物確認をしている。
「ステータス異常なし、武器異常なし、防具異常なし、ん?スキルが空間魔法から超能力(空間)になってる?どうゆうことなんだろ…。なんか違うのかな…」
そこで、周りを見渡そうとすると急に左目に痛みが走った。思わず倒れ込んでしまうほどだった。そして、どれほどの間続いていたかは分からないが痛みが治まってきて起き上がった涼はゆっくりと目を開いた。
「ん?なんか右目と左目で見える景色が違う?なんだろ右目は今のここの景色か…え?左目ってどこにいるのこれ暗い…、あ、みえた…ん?だれ?このツインテール…なんか渋い顔の人もいる…」
痛みが引くまでのしばらくの間、石の上に座り左目に見える景色を観察することにした。
「これって、どっかの貴族のお嬢様と従者なのかな?いや、ツインテールの方からそんな感じしないな…んーあ、やっと服装見えたん?これってライダースーツ?なんかエンブレムも見えたな、どっかの組織の人か?いってってずっと見えてたらちょっと不便だな…」
RYOUは左目に集中しすぎて氷柱に衝突してしまった。そして、左目の感想を呟いたとほぼ同時に轟音をたてながら洞窟が奥から崩壊してきた。RYOUは転移ながら逃げようとしたが左目のせいで転移先をしっかり見ることが出来ず転移ができなかった。
「えぇぇーちょー!(これじゃ間に合わない…あ!あそこの穴に入ればなんとかなるかな?)」
そして、猛ダッシュしてぎりぎり穴に入ることが出来た。一瞬なにかの魔物の唸り声が聞こえたがリョウにとっては些細なことなので無意識のうちに仕留めていた。
「(ここにいても潰されるのも時間の問題かなかなか広そうだけど……、とりあえず安全を確保しよう。《リフレクトウォール》…あれ?)《リフレクトウォール》あ、声に出さないと発動できないのか」
と呑気なことを話しているが現在RYOUは土の中に閉じ込められている状態ようするに生き埋めにされている。
「んーどうしよう、左目に見えてるとこに転移出来るのかな…出来れば今すぐしたいけど、誰の見てる景色なのかすら分からないからなー転移した瞬間に攻撃されるかもだからなー」
と、右目をつぶって再び左目を開いて見るとさっきの人達は転移後に比較的隠れやすい森の中にいた。
「お、ちょうどいいや、なんかすごい速さで移動してるっぽいけど、まぁどうにかなるよね?」
ー目標地点確認《空間転移》発動ー
いままでゲーム内で何度も使用してきた空間転移をつかってRYOUは森の木の影に転移した。その後すぐに目の前をサイドカー付きのバイクが1台通過して行った。RYOUは左目を閉じ渋い顔の使用人感のある男とツインテールそれからサイドカーに自分の左目とリンクしている人をその右目でハッキリと確認した。
「まずは気づかれないように追いかけて何者なのか調べるか」
ー《高性能光学迷彩》発動ー
「あ、これは言わなくていいんだ…よくわかんないな…」
そう呟きながら光学迷彩を発動させるとRYOUは左目をつぶって再び空間転移を発動させバイクのあとを追いかけた。しかし、2キロほど進んだところでバイクは止まり3人ともバイクから降りた。そして、それぞれ武器を手にしだした。渋い顔の人は懐から銃を取り出しなにか操作をしたと思ったら光が集まり剣の形を作り出した。ツインテールは銃を両手に持ち待機して、残りのひとりは腰から剣を抜いた。
(あれ?もしかしてバレてる?迷彩見破られてる?)
「あんたが尾行してるのは分かってる誰だ!でてこい!」
と渋顔の人が大声で呼びかけてきた。
(いやいやいや、だったらそんな完全武装しないでよ出て行きずらいじゃん?明らかに出た瞬間にやられるやつじゃん?)
すると、どこからか盗賊らしき人達がでてきた。
「ハッハッハ、よく我々が待ち伏せ…て、…る……」
(ほらーやっぱり出てきた瞬間に殺られてるじゃん!セリフ最後まで言わせてもらえてないじゃん!)
「尾行してる奴出てきなさいよ!」
こんどはツインテールが叫んできた。
(これ、もう出るしかないよね…あ、なら武装解除を条件に出て行けばいいんだ!よし、これで行こう)
そして、RYOUは徐々に3人に近付きながら話し出した。
「分かりました。ですが、とりあえず武装を解除してもらっていいですか?出て行った瞬間に撃たれたら困るんで」
すると、ツインテールが挑発をかましてきた。
「えぇービビっちゃってるんですか?」
「シューとりあえず要求に応じよう、それでいいな」
「はい、ありがとうございます(んーあの左目つぶってる私服の人の左目とリンクしてるんだよね…なんかどっかで見たことある気がするな…あの見た目って多分)」
そう考えながらもRYOUは光学迷彩を切って彼らの目の前に姿を見せた。
「皆さんどうもはじめましt…」
と、RYOUが挨拶をしている無防備な状態を狙ったのかツインテールが銃をホルスターから抜き早撃ちをしてきた。そして、放たれた光線はRYOUに当たる前に何かに反射して、あさっての方向へ飛んで行った。
「はぁ、突然撃ってこないでくださいよ危ないじゃないですか(あっぶな、よかった《リフレクトウォール》展開したままだったー、展開してなかったら今頃やられてたよ)」
「え!?いつの間に」
RYOUはツインテール後ろに転移してチェンジャーを頭に突きつけていた。
「おっと、両手を頭の後ろに組んで何もしないでくださいね?動いたら撃ちますからね?ただ僕は左目とリンクしているそこの人とお話がしたいだけですから平和にいきましょう?ね?」
そう言いながら《メニュー》のアイテム欄からロープを取り出し、武器を捨てさせ、両手両足を縛ってさらに近くの木に縛り付けた。途中何か話しかけられたがそれを無視して黙々と縛った。
(はぁ、拘束の仕方知らないから正しいかわからないけどこれなら解けないよね……)