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2020最初の投稿です!今年もよろしくお願いします!


この国の民のほとんどは国王は神より授けられたものと考える。これは昔のヨーロッパで言うところの所謂、王権神授説というものだ。日常生活でそう感じることはそれほどない。時よりビル街で狂信的なのが奇怪な行動をしていたりするがそこは信仰の自由と言うところだ。軍の上の方にいるのも信仰心が強いのが多い。

アルバートに出発前に渡されたコイン、その数がアキラへ味方するものの数、逆に言えばそれ以外はアキラの言うことは聞かないのだろう。表現が悪いがそれらは王の従順な犬と言ったところだろう。


(ユウのやつの様子も最近へんだしな、…まてよ?あいつは俺以上に計画的なやつだ何か策があるのだろうか)


「アキラくんいつまでボーッとしてるの?順番次だよ?」


ケンタがアキラの顔の前で手を振りながら話しかける。


「…。(いつのまに…すこし考えすぎていたか?)」


勝手にアキラの中で完結させると順番がまわってきた。今日は全学年共通学力・身体能力調査テスト当日。今はその第一種目目の1000m走だ。50mでも十分な気もするがあくまで元居たの世界の基準だからこの世界では通用しないだろう。そこでコースの外にいる人が勢いよく旗をあげた。スタートの合図だった。アキラは全力を出さず走る。


「んー20秒ぐらいかなーじゃぁ15点ぐらいでいいかなー」


なんとも雑な判定だった。


「はぁ、はぁ、はぁ、ア、アキラくんはや、速すぎでしょ、それ、軍事科の生徒の平均ぐ…」


「んー2分ぐらいかなーじゃぁ5点ぐらいでいいかなー」


容赦なくテキトーな審判が下される。

ちなみにユウは1分ぐらいだったらしい。別行動とテキトー審判のせいで詳しくはしらない。


「あぁぁぁ、このあと持久走だよ鬼畜だぁぁ、なんでなんだぁぁぁぁ」


そう、ケンタの言う通り次の種目は持久走だった。10㎞を走らされるようだ。なぜ同じ日に2回も走らされることになっているのかこの学校の生徒の誰もが思う疑問らしい。まわりでも同じように嘆く人が居た。


「制限時間10分、よーい」


いい終えると太めの筒を構え手引き金を引く、すると大きな破裂音を響かせて紙テープが飛び出した。そんな合図と共にクラスメイトが走り出す。すこし驚いたせいでアキラは出遅れた。


「3分ぐらいだね、んー15点ぐらいでいいかなー」


またコイツだ。アキラはすこし苛立ちながらも黙って他のクラスメイトを待つ。

結果的に制限時間内でゴールしたのはアキラとユウそれからユウの取り巻きだけだった。元から速さにステータスを振っていたアキラにはこれは余裕なのである。外競技はこれで終わりになり、あとは握力と横飛と射撃だけとなった。これらは午後にやることいなっている。


「はぁー、毎回思うんだけど厳しいわー。普通考えて10分で10㎞を走るなんてムチャありすぎるでしょ!?」


アキラが教室の隅で昼ごはんを食べているとケンタが愚痴をたらしながらパン片手に隣に座る。


(確かにしんどすぎるが、あのスタートの合図には何もないのか!?あり得ないだろ!?あんなクラッカーみたいなのが合図でいいものか!?)


一人静に心の中で叫んでいた…。


「あーもう!こんなときは叫ぶのが一番だ!」


(お前もか!……!?)


ケンタが急に立ち上がる。さすがに叫び出すと周囲に変な目でみられるのでアキラは必死で止めに入る。それでもケンタは手を伸ばして窓を開けた。 ここでケンタは窓を開けたことを後悔する。開けた窓の外から何かが飛んできたのだ。


「つっ…」


アキラはとっさにケンタをかばい飛んできたものを素手でつかんでしまった。


「ど、どうしたのアキラくん。……て、手どうしたの!?」


手の第2間接と親指の付け根に痛みが走る。刃物だ。血が流れ落ちるのを感じる。

アキラは手に握っていた刃物をケンタに見せた。


「…剣先…ここ三階だよね?どうやったらこんなの飛んでくるの」


(そんなのこっちが聞きたい、窓の外から剣先が飛んでくる学校なんて聞いたことないんだが?)


それはアキラでもわからない。ふと窓から下をのぞいてみる、下では絶賛戦闘中のようだった。そこでいきなり怪我のしていない右腕を強引に引っ張られる。ケンタだった。


「はやく!早く保健室いかなきゃ!」


かなり慌てているようでアキラは廊下を引きずられながら保健室まで運ばれている。アキラは人気の少ないタイミングを見計らって体勢を建て直すと怪我をした左手で一本の試験管を取り出し握り割って中の液体を左手にかける。同時に右手で()()()使えるようになっている刹羽流の技の1つを使った。


~刹羽流戦闘術捕縛≪倒≫~


掴まれている右腕を掴み返して足をかけて転ばせる。本来はこのまま地面に倒して関節技を決めたりするが今回は転ばせないように腕を引っ張って膝をつかせた。


(技と言っても動きに勝手に名前をつけている(かたち)だけだが、技として使うといくらか強めに行使できるんだったか)


急に足をかけられて驚いているケンタに怪我したはずの左手を見せ、ケンタを立たせた。


「どうやって治したのそれ」


最近になって持つようになった「1日10個『あいつ』が持たせてくれる専用の回復薬」を使っただけ、だが、そんなこと言う気は毛頭ないのでいつもと同じく一言も発さない。


(ゲーム内でのフレンドリーファイア防止のための敵意や害意を受けない限り行使できないってやつはこっちでも生きていたはずだが…?)


廊下を引き返しながらアキラは刹羽流の発動条件を思い返すのだった。



昼休みが終わりアキラ達は学校の地下にある広間に来ていた。ここで握力と横飛をする。

最初は握力だった。なにやら丸いボールのようなものが握力計らしい。重さはそれほどないがかなり固かった。記入の係の人がそれを見て無言で記入していく、そしてそのままなにも言われず横飛にまわされた。台の上に1列になってたたされる。


「横飛は1分間、それでは始める、3…2…1…始め!」


合図と一緒に床が横に動き出す。全員床の速さに合わせて横飛を続ける。時々動く方向が変わりその度に脱落者が出る。速さもかなり出ていてそれなりの反射神経が必要とされる。アキラはラスト25秒までもちこたえたが転んで脱落、それでもクラス内では1位だった。軍事科の生徒は余裕でクリア出来るらしい。


(この動きって戦いの中ではしないな…やはり身体能力的には軍事科の生徒には負けるのか?そりゃ、スピード特化だからな…速いだけだからな…技術向上させなきゃか?いままでゴリ押してきたからなぁ…)


そんなことを考えながら水分を補給するのだった。

ちなみにケンタは最初の方向転換で脱落していった。


ここでも点数は言われず、場所は隣にあった射撃練習場に移動した。


「ハンドガンとアサルトライフルの人は手前、ハンドガンとスナイパーライフルの人は奥に並んでお待ち下さい」


アキラはハンドガンとアサルトライフルの方を選んだ。

しかし、アキラ以外に同じ方を選ぶ人がいなかった。不思議に思いスナイパーライフルのブースの方に目をやった。特別なにか人気そうなものがいるわけでもなかった。

最初からユウの番だった。的はアキラの場所からちょうど見えないが吊るしてあるモニターに的の映像が流れていた。的には1.5Kとかかれている。一方、今、銃をかまえているのはここに来る前はトッププレイヤーとして様々な実績を積んでいた人物だ。本人も銃は手を抜きたくないからとここでは手加減するために慣れない刃物を扱っている程の本気の狙撃手だ。


(涼なら百発百中なんだろうけど)


そう思いながらモニターの右下にあるチャレンジ回数の表示が1/5から5/5になるまでその()()()()を眺めていた。


「そろそろ始めても大丈夫ですか?」


係りの人が待ってくれていたらしくアキラは軽く一礼するとブースに入っていった。最初にランダムに出現する的をハンドガンで撃っていき一発当てるごとに()()()が命中を教えてくれた。少しアキラは驚いていた。()()()()()()()()()()()()。そこから5発撃った所でアサルトライフルに持ち替えさせられる。


「それでは時速60キロから始めます」


アナウンスと同時に的は前後左右勝手に動き出した。


(60キロから…か…以外としんどいやつだ…だからみんな選ばなかったのか…ケントのやつなぜ言わなかったんだ。それに少し反動が強すぎないかこれ)


「僕はケンタだぁぁぁぁぁぁぁ」


そんなことを考えながら速くなっていく的を接近してくるタイミングで撃ち抜いていく、なぜかされた突っ込みはスルーした。


すべて当てたのはいいが真ん中には当たることはなかった。内心スナイパーライフルでやればよかったとじんじんとしている右肩を押さえながら更衣室で制服に着替える。そのあとは教室でHRをすると下校になった。

門を出てバイクにまたがるとそこで通信が入った。リュウからだ。


「壊師アルファ今すぐビル街の第7区まで急行してほしい。第8軍団軍団長から直々のSOSがきてる」


アキラにとってはじめての≪SMDs≫としての仕事が入った。

アキラはすぐにバイクにまたがりナビゲーションにしたがってビル街を目指す。人気のない道中に一枚のコイン取り出して人差し指中指と親指ではさみ割る。割れたコインからは黒い霧のようなものが出てきてアキラの服装を変える。


「いい忘れてたけど戦闘服のセットカッコいいやつに変えておいた。ちゃんと動きやすいやつだから安心して」


見てみると大幅に変わっていた。黒いシャツに黒ネクタイ、上下は黒のスーツ、それからサングラス、手袋、くつとすべて黒かった。腰には愛刀である黒の直刀がさがっている。サングラスは外した。


(もう。黒は嫌いだ…。サングラスかなり見ずらいし)


目の前には第8軍団の人たちが交通封鎖をしている。心なしか冷たい風が吹き始めたようにも思える。雲行きも怪しい。アキラはバイクのスピードをあげてタイミングよく氷のジャンプ台を作って交通封鎖を越えていく、すこししたところで横から何かがアキラの脇腹を襲った。

体勢を立て直し、辺りをみると氷漬けになった人たちがみんな()()()()を向いて止まっている。

正面には赤い冷気を漂わせる一人の軍服を着た男が居た。男は自身も凍っているのか髪や肌が赤くなっている。そしてアキラを認識すると周囲に赤い氷の武器を造り出した。アキラは驚きながらも刀を鞘から出して突っ込んでいく。

世で言う「攻撃は最大の防御」というやつだ。

しかし、今のままでは確実に勝つことはできない。すべての赤氷の武器はアキラの方を向き次から次へと放たれていく。それらはアキラのすれすれを通り抜けてビルのガラスや壁を壊し、柱を削っていく…、もちろんアキラ自身避けるだけではない。自身の氷や刀で防いだりもした。

それでも氷は打ち負け、刀にいたっては踏ん張って受けないと飛ばされてしまいそうだった。


(…あれは本当に氷なのかよ…固すぎだろ)


アキラは突っ込むのをやめて回避行動をとり始める。

それでも相手が一枚上手だった。学校での暴走沙汰と同じく相手に意識はないようだがアキラを確実に狩りに来ている。ときにフェイント、ときに先を読まれ、寒さのせいもあり徐々にアキラの体力が尽きてきた…。

あれからどれ程たっているのだろう、アキラは体力回復と怪我への応急処置の為にビルの柱の影に隠れている。まだ男の周りにある赤氷の武器達のせいで攻撃と言う攻撃が出来てない。


(はぁ、情けない…こんな事知られたら元帥派はいなくなるな…)


「こんなところでなにしてんの?」


破壊音の響き続くアキラのいるビル。その奥から声がきこえた。

奥からコツコツと足音が一定のテンポを刻みながらちかずいてくる。足元から光が当たっていきルックスが露になって行く、Gパンに白いシャツを着て、淡いレモン色のパーカーに紺の膝丈のコートを羽織っている。

全体的に細身で身長は高め第一印象はもやしといったところだろうか…。


「いやぁ、なんか今日寒いね」


変わらずアキラに話しかけてくる。どうやらいまの外の状況がわかってない様子だった。

巻き込むわけにはいかないとアキラは無視して柱の影から飛び出す。なるべく遠くにいこうとさらにビルから飛び出す。同じタイミングで横から赤氷の武器が飛んでくる。反応がすこし遅れ中途半端な氷の盾でしのぐも威力を殺しきれずアキラの体が宙を舞いコンクリートに背中から叩きつけられてしまった。

声にならない声とともに目に映る世界が回転した。とどめと言わんばかりにアキラに赤氷の武器が向けられる。


(これ、よけられないな、)


アンダーグラウンド以来の死の予感、それがよぎる。彼の場合死んでも直ぐに蘇生されるのだが…。


そこへ、不意に()が聞こえた。どこか優しさの感じることのできる音だった。その音の一つひとつを表すように音符が()()()()()()()。ある音符はアキラに浸透して治療し、またある音符は飛んでくる赤氷の武器と一緒に霧散する。


「お、いきてた。苦戦してるようだから手伝ってあげるよ」


ビルのなかに居た人だった。左右の手で音符やリズムを操りながら歩いてくる。髪の毛が全体的に長めで前髪は目にかかりそうで、耳は髪の毛で隠れかけている。鬱陶しくないのだろうか、


「ほら、もう動けるでしょ?何を遠慮しながら戦っているのかは知らないけど早く終わらせないと街が氷漬けになるよ?あ、ほらビルひとつ崩れた」


轟音と共にさっきまで居たビルが崩れ落ちて行く、

それを見届けアキラは刀を支えに立ち上がる。


(今回ばかりはしょうがないか…)


アキラは口の中にある飴を砕き、斬ることだけを考えた。目標は正面にいる敵一人…。

刀の背に左手を当て地面と平行に

静かに息を吐きながら姿勢を低くしてかまえる。


「…刹羽流戦闘術…(あぁ、意思のない自分の刀が彼を殺してしまう前に助けて(殺して)あげなければ…)」


歪みに歪みきった思考が表にフツフツと沸きだし

そして、さっきよりもテンポの上がったリズムに乗り一呼吸おいてアキラは動き出す。


……剣撃……


一気に加速して距離を詰める。それを阻むように赤氷の武器はアキラを攻撃する。

しかしアキラは右手に握った刀の背に左手を添えたまま斬る、そして飛ぶ。斬ってから飛ぶのではない。野球でヒットを打った時にボールが飛ぶのではなく自分が飛んでいくような感覚だ。(野球で本当にこれをやると打ち方を変えない限り後ろに吹っ飛ばされているだけになるのでオススメはしない)飛んだ先にも敵の赤氷の武器がありこれも同じようにした。これがアキラの戦闘スタイルだ。もとは初心者向けの回避手段として運営が初期の戦闘スタイルである刹羽流に組み込んだものだった。ゲームの序盤は単純な一回攻撃がほとんどなのでこれだけで勝てたのだ。それでも後半になると連続攻撃や複数同時攻撃などについて行けず…。複数存在している戦闘スタイルのなかでは最弱とされてきた。「まぁ、初心者向けのだからなー」と言う風潮の中アキラは「避けきれないなら速くすればいい」と考え、素早さに9割りのステータスをふり、「狙った場所に飛んでってまた使えたら強くない?」と言う考えで残り一割を器用さにふった。アキラは敵に近づくまでに計9回ほど飛んだ。


「へぇ、面白い動きするねぇ」


声の主はラストに向けて今度はテンポを落とし曲調を変える。


……十連……


アキラはもう敵を刈り取れる距離まで来ていた。そこで見事なまでに真っ直ぐな一閃を後ろから右脇腹に放つ、確実に敵の腹を斬った…。


……≪流旋≫


はずだった。


「Graaaaaaaaa」


斬りきれなかった。刀が半分のところで止まりどのように動かしても抜けなくなったのだ。

アキラは短期間だが色々な人を斬ってきた。どんなやつでも斬れば動かなくなる。しくじったことなんてんかった……。アキラは混乱して動けなかった。


正面を向いていた敵の顔だけがメキメキと音をたてながらこちらを向く。アキラの目は飴を舐めていない時に色が見えない。が、黒く見えるということは赤いのだろう。それがまたアキラの恐怖をあおる。


「武器から手を離してとりあえず距離とって!」


「やだ…うそだ、あはは、ゆめか」


アキラ自身なぜこれほどまでに恐怖を抱いているのかはわからなかった。

そして、なにも抵抗のできないアキラは首をつかまれ持ち上げられる。苦しさや恐怖でアキラの目に映る色のない世界が何か溢れるもので歪んでいく。


「『Cluster(クラスター)』!!」


その声に続くように敵の腕に音符が集まり様々な音が爆発するように盛大に響いた。

同時に敵は反動に飛ばされ腕を残して後ろへ飛んでいった。さっきの人だ。

また助けられてしまった。


「あ、ありがとうございます…」


声を絞り出した。


「無事で何よ…!?」


言いかけたところで固まった。その人の視線の先をみると吹っ飛ばされたはずの奴がもう立ち上がっている。周りにはもうすでにたくさんの氷の武器が展開されていた。

合図と共に一斉に飛んでくる。


しかしそれは途中で落ちてしまった。見ると黒い大きな矢が敵に深々と刺さっていた。


「油断禁物だよコウちゃん」


「その呼び方やめてってば」


コウと呼ばれた彼は矢の先を見つめたまま後ろから聞こえてきた声に反論した。見るとアキラの保護者役であるリュウがクロスボウ片手にこちらに歩いてきていた。ここでアキラの意識は途切れてしまった。それと同時に装備は元のコインに戻るのだった…………。



(どこだここ…)

自分の目が開いているのかはわからないほど見えなかった。とにかく黒しか見えなかった。

そして………、足だけが動かなかった。というよりは動かせなかった。()()が足をガッチリつかんでいたのだ。

そこで目が覚めた。

決して良い目覚めではない。

起き上がり辺りを見渡す。知らないところだった。雰囲気からして病院の個室だろう。

そこへ、ドアが開き保護者役のリュウとこの国の軍のトップ≪A-Z≫のメンバーの一人であるハンナが入ってきた。


「おはよう、アキラ、加減はどう?」


「最悪」


と、リュウの心配の一言にアキラは短くかつ冷たい対応をとった。


「そ~んな最悪なときに~悪いんですけどぉ~悪い話と良くない話~どっちから聞きます~?」


(悪い話と良くない話か…、何が違うんだ…)


ハンナが変わらずゆったりとした口調で報告してくる。これに対してリュウが割り込んできた。


「暴走兵の足どり調べ得たらとあるジムにたどり着いたんだ。最初は普通のジムだと思ってたんだけどさ、一般人はもちろん他にもアキラの行ってる学校の生徒も3人ほどの出入りが確認されてるんだよね。でね、ここからが問題なんだよ、今回の暴走兵それからその内の生徒2人がジュラルミンケース片手に出てきてるんだよ」


そこまで聞いてアキラは「はっ」とした。一人暴走について心当たりがあったからだ。しかし、それだけではない、リュウは3人のうち2人は同じように持っているといった。あと1人まだ学校に謎の暴走と言う爆弾をもっていいるのだ。この時間だと昼休みぐらいだろうか学校にはヒナ達も居るだろう。大将戦までまだ日はある。それまでにヒナ達に何かあれば不戦敗だってありうる。アキラはどうしてもそれだけは避けたかった。


「その内の1人はもう報告が上がってまして~身柄はこちらにあるんですけど~もう1人が~顔が隠れてたのでわかんないんですよ~」


「もうひとつの悪い知らせは君のアンダーグラウンドにいたときの情報が王に伝わっちゃったことだね、10個の属性が使えるって聞いたよ」


一通り報告を終えると2人は仕事に戻ると言って出ていった。

1人残った病室でアキラは体が動くことを確認しながら考える。王に伝わってしまったと言うことは化身たちにも伝わってしまっている可能性がある。 これでは偽りの情報は信用されないだろう。と、

とりあえずアキラは喫茶店「ヴァート」に向かうことにした。もちろん病室はこっそり抜け出す。道中は何事もなく無事に入り口に呼んでおいたバイクにたどり着く、しかし、バイクにまたがるとひょろっと誰かが話しかけてきた。


「こんにちは、()()()()()()()?」


振り向くと柱の影からコウが出てくる。アキラはかまわずエンジンをかける。


「いや、無視しないでよ」


(確かに今の俺は王の言いなり状態だ。勝負事に関して負けるわけにいかないのはそのせいでもある。それでもいまは辛抱だ。)


アキラは自分にそういい聞かせるとコウを無視してバイクを走らせるのだった。



すこし遡りとあるビルの最上階の一室、


「あぁ、われらのかみよ、なぜ?なぜ!おおしえになれないのですか、あぁ、かみよ」


願いもむなしく叶わず肩を落とす。その姿を見て1人が近寄る。


「そんな落ち込むなよ、俺様たちで集めてやるからよ、例のアレももちょいで完成だからよ、な?」


すると奥から1人杖をつきながら歩いてくる。


「すこし黙らんか爆破脳の肉だるまよ、ここは貴よりも光身の娘の方が見映えが良い」


「うるせぇなぁ、じじいは黙って土にでも刺さってろ」


「もう少し年寄りには優しくした方がいいと思いますよバカの化身」


奥からまた1人現れる。今度はスラッとした人が歩いてくる。


「おうおう、光の化身サマのお出ましだぁ、なんだ?俺様と戦うか?いつでも歓迎だぜ?」


「バカ化身はどこまでいってもバカなわけですか」


爆破の化身と光の化身が睨み合う。


「主よ、もう休を、疲れてはなにもできませぬ。そら、童らはもう静まんか」


そういいながら地面を杖でつつくと地面から何かが延びて睨み合う2人にぐるぐると巻き付いた。


「さて、心休めにもう一眠りにつくとするかの」


彼らは何処かのんびりしている感じがあるが地上では着々と彼らの計画が動いている。

そして、それを止めようともがくものや抵抗するものもいる。

そんな光景を嬉々と見届ける人がいる。

または自分の手駒が早く権限下へ来ないか固唾を飲んで見守る人も…、



「ベルバート、進捗」


「現在まだ1ページ目ですが次からは2ページ目も実行するところでございます。」


客のいない静な喫茶店でベルバートは『そいつ』に報告をしている。


「そっち、違う」


「失礼いたしました。ファーストフェイズは近い内に実行されると思われます」


「サードフェイズ、終了、後、すべて、次」


「心得ております。お任せください主人様」



次の日の放課後、アキラ達は喫茶店「ヴァート」の地下訓練施設にいた。いつも通り走り筋トレをして軽くなってきた気絶から復帰する。


「今日から新しい訓練に入ります。ご覚悟を」



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