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死にたい不死者の異世界転移戦記  作者: 北石 計時朗
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試練の迷宮

ひんやりとした感触で意識が次第に覚醒する。


鉱物的な異臭が鼻腔を通して嗅ぎ分けられる。


ぼんやり目を開けるとそこは異様な空間、薄暗く仄かに発光する壁、材質は岩か何かだ。


上体を起こして周囲を観察する。


洞窟、そんな雰囲気の通路で自分は寝転んでいたみたいだ。


仄かに発光する壁のおかげで周囲の状況は把握できる。


取りあえず現状は危険はなさそうだ。


取りあえず立ち上がろうとして体に違和感を感じる。


体全体に重みを感じる。


違和感の正体は皮鎧、何故か革製の鎧装備一式を着込んでいるみたいだ。


「なんだこれは?」


疑問に思わずつぶやいてしまう、全身に皮鎧装備そして腰に剣、重さの違和感の正体の大半がこの腰に装備した剣によるものだった。


「ん、なんで剣なんて装備しているんだ?」


そうつぶやいても答えは返ってこない、とりあえず剣を鞘から抜いてみる。


鉄色に鈍く輝る60㎝ほどの鋭利な両刃の剣、使い込まれた後もなく新品のようだ。


取りあえず片手で軽く振ってみると、剣の重みで体が持っていかれそうになる。


あわてて両手に持ち替えて振ると今度はかろうじて安定して振れる。


頭の中で思考が混乱する。


『エルシオン』それが神が言うこの世界の事なのだろうか?では自分はこの世界の何処にいるのだろうか?


それにこの装備、これが神の贈り物なのだろうか?理解できないことだらけで頭が混乱する。


とりあえず剣を鞘に収めて目を閉じてみる。


目を閉じると瞼の内側に文字が浮かんでくる。


ユニークスキル『不死者』

スキル『認識』×

スキル『再生』

スキル『剣技LV1』


ユニークスキルは神からのギフトとして他のスキルはいまいち理解できない、特に『認識』が×状態になっているのがよくわからない、このまま認識できなかったら現状を確認することもできない、何とか『認識』が解放できないか念じてみる。


『初期混乱を低下する為にスキル認識はOFFにしてありますスキルを発動させますか?』


心の中で機械音声のような声が流れる。


取りあえずONにするように心で同意してみる。


『スキル認識をONにします』


その声と共に目を開けて見る。


情報がうぁっと頭に飛び込んでくる。


『迷宮石の床』『迷宮石の壁』『迷宮石の天井』


とりあえず一度認識されれば情報として脳に記憶され、蓄積されていくようだ。


装備している剣を認識してみると『鋼鉄の剣、耐久10』


皮鎧を認識すると『スライムボアの皮鎧、耐久10」と次々に認識されていく。


武器や防具の耐久値までわかるのなら『認識』って結構便利なスキルなんだと感心する。


取りあえず辺りにもう認識できる物がないか確認してみると、迷宮石の床に鞄が置いてあるのが認識できた。


『冒険者の鞄上級』となんかそのまんまの革製の肩掛け鞄が置いてある。


思わず歩み寄って鞄を手にして中身を調べていくと『焼き固めたパン』『水筒』『干し肉』と次々に認識されていく、とりあえず当座の食料や飲料水は用意されているみたいだ。


しかしユニークスキル『不死者』があれば飢えや渇きに心配する必要性がないのではと心の中で考えてみると、


『ユニークスキル不死者は肉体のみ不死性を付与されており、飢え渇きを軽減若しくは不要とする特殊性は付与されておりません』


 機械音声さんがそんな疑問に答えてくれる。


どうやら飢えや渇きで死ぬことはなくても肉体が食料や水分を欲して、癒されることのない飢餓感や渇きに、襲われてしまうのだろうか?


『飢え渇きに襲われたら正常な判断能力が低下して自我の維持が困難な状況に陥ります』


飢えや渇きで気が狂うって機械音声さんそれはないぞと心で突っ込んでみても返答はない、それじゃあ睡眠はどうなんだろう?不死身なら寝なくても活動できるのでは?


『ユニークスキル不死者は外部的要因によって肉体が損傷した場合のみ発動し、不眠不休で活動できる体力を付与するものではありません』


、ああ、24時間も48時間も不眠不休で働けないのね、神様ギフト意外と使えないんじゃないか?飢えや渇きは訪れるし疲れれば休息を欲するに肉体なんて常人と対して変わらないな、何かもっとチートな能力だと思っていたのに、ただ単に死ねない肉体なんて自ら死を望んだ自分に対する罰ゲームでしかない、地獄へようこそって誰かが言っていたっけ思い出せないが……ここって本当は地獄じゃないのか?いや、まだそうと決まったわけでもないし取りあえずまだ認識していない場所と者がある考えて自分の手を見て認識してみる。


『種族』人間

『LV』1

『HP』15

『MP』12

『SP』12

『俊敏』12-5

『器用』8

『知能』14

『防御』8+21

『攻撃』5+30

『技能』なし

『魔術』なし

『ユニークスキル』『不死身』

『スキル』『認識』『再生』『剣術LV1』

『言語』『エルシオン共通言語』


はぁ、剣術は技能じゃなくてスキルになるのね、と言うか何このゲーム感、それにLV1だし雑魚っぽいし、ご丁寧に装備によって俊敏や攻撃、防御が、上下してるし、これってモンスター倒して経験値稼いであげていくのかな?とりあえずこんな低いステータスじゃ、ここから抜け出すのにもどこに行くにも経験値足りません状態じゃん、異世界転移するのならせめてLV100ぐらいに底上げしておいてくれてもいいじゃんと、こんな世界に送り込んだ神様に恨みを覚えても、どうしょうもなし、とりあえずここから抜け出して村か町でも人間の生活範囲に行かなければ今後の目標も見いだせない、と考えて移動する為にもう一度装備を確認する。


装備をまさぐっていると胸に違和感、何かネックレスぽいので首から鎖を手繰って取り出してみれば一枚のプレートがシャツの中から出てくる。


何か見たこともない文字が刻印されたプレート、あ、でも読める何故か?これが『エルシオン共通言語』?なのか?


冒険者証明、トロワキア王国ムゲ村出身、マモル、タクマ、ランクFって知らない間に聞いたことのない村や国出身で冒険者に登録されてる。


さらにランクFってたぶん一番下っ端だよね?ネット小説で読んだことあるし、低レベル、低ランクは村の雑用するんだよね?こんな如何にもダンジョンって場所に一人で入り込むなんてしないよね?取りあえずこの場所を認識先生に尋ねてみることにする。


ここどこですか?


『試練の迷宮1F未探索、未踏破』


未探索って誰も入っていない迷宮ですか?認識先生も機械音声さんも答えてくれない、とりあえず1Fってことは上に上る階段さえ発見できればここから脱出できるはず。


取りあえず生命線の入っている鞄を肩にかけて、剣を抜き薄暗い通路をマモルは、先が見通せない暗がりの中を慎重に歩き始めた。


とりあえず神様はチュートリアルって言っていたんだから、比較的簡単にこの場所から抜け出すことができるだろうとマモルは、比較的に楽観視しながら迷宮内を若干急ぎ足で歩んでいく、しかし彼がこの迷宮の真の恐ろしさに気づくのはまだ当分先になるのだろう。





読んでくださってありがとうございます

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