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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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みずのにおい

「…っ‼」


ほっとしてまた歩き出そうとした時、目の前に女の顔が見えて、西原は足を止めた。びっくりして声も出なかった。だが、見えたのは一瞬で目の前には何もない。


気のせいだったのかと西原は気を取り直したが、鳥肌はおさまっていない。それにこの、どこに出るか分からない道を行く気にはなれず、急いで方向転換した。そして、やはり来た道から帰ろうと戻り始めた。


水の流れる音が聞こえなくなり、元居た場所まで来ると、もう鳥肌はおさまっていた。


高石の言う通り、明日の朝に確認に行けば良かったという後悔を感じながら西原は少し早いペースで、足元に気を付けながら走り始めた。


自分の足音と息遣い、それに時おり吹く風で木々が揺れる音。それ以外には音がなく、静かで真っ暗な所だった。一瞬の恐怖があったからか、酒もすっかりと冷めていて、戻ったら高石を相手にくだらない話でもしながら呑み直そうと西原は思っていた。


来た時は登りでも、帰りは下りだ。下りはスピードが出て膝の負担にはなるが、西原はそれにも構わずに走っていった。今は少しでも早くこの場所から遠退いて、皆が居る場所に戻りたかった。

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