みずのにおい
食事を終えて、むつと山上、西原がのんびりとタバコを吸い始めた。3人は揃って窓の前に立って、煙を外に向かって吐き出している。
「…休憩しちゃうと」
「なかなかやる気出ないな」
むつと山上は顔を見合せて、ねーと言っている。声の低い高いがあって、見事なハモりになってはいるが、やる気にならないのは問題がある。
「後どのくらいなんですか?何か手伝える事かまあるならしますよ。昼飯ご馳走になっちゃってますし」
「ご馳走にって…まぁ…確かにな。食べれもしない量を頼んだむつの代わりにほとんど食ったのお前だもんな」
「えぇ…明日は休みですし、手伝います。その方が早く終わると思いますよ?むつも祐斗君も疲れてるようですし」
「お願いしよっか?組み立てて運ぶの…力仕事だもん。その間に、あたしと祐斗で皆を綺麗にしておく」
「お前、楽な方選んだな?」
「女の子だもん」
「こーゆー時だけ女の子か?ずりいなぁ」
「まぁまぁ山上さん。むつもこれでも女の子なんですから…な?甘えてるんだろ?」
ぷーっと煙を吐き出したむつは、うーんと首を傾げた。西原が甘やかすから、と山上はぶつぶつ文句を言っているが、仕方ないかと呟いた。
「お前に棚を作らせると、ネジが足りなくても完成するもんな。作り直すより、自分でやった方が安全だしな」
「…むつ、そうなのか?」
「うん…なぁんかねぇ…ネジ余るよ?」
「説明書とか読まないのか?」
「読まないよ。感覚で」
あぁと西原は納得すると、むつに棚の組み立ては任せられないと頷いていた。




