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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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みずのにおい

むつが倉庫の床を箒ではいてる間に、祐斗が脚立に登って蛍光灯のカバーを雑巾で拭っていく。祐斗が終わり、脚立と雑巾を片付け始めると、むつはモップで細かな埃を取っていく。


「誰か来たみたいですね」


デスクが並んでいる方から、山上の声がする。何やら楽しげな声に、知り合いが来ている様子なのが分かる。仕事の依頼なのかと、むつと祐斗は明らかに嫌そうな顔をしている。


「むつ、祐斗。掃除終わったか?」


山上が呼んでいると分かっていても、むつと祐斗は顔を見合わせたまま返事もしない。山上が親しく話していて、呼ばれるという事はむつと祐斗も知っている相手からの面倒な依頼である可能性が濃厚な予感。むつは祐斗の顔を見たまま、ぶんぶんと顔を横に振っている。このまま、返事をしなかったとしても倉庫の中に居る事は知られている。それに、今の倉庫は空っぽで隠れる場所はない。


「…どうした?何かあったか?」


2人が返事をしないでいると、山上が顔を見せた。むつは不機嫌そうだし、祐斗は諦めきったような顔をしている。


「お…ど、どうした?何だ?」


「嫌だっ‼年末に仕事でしょ?どーせ面倒くさいやつでしょ?絶対に嫌よ‼むつは受けない‼」


「な、何の話をしてるんだ?そうじゃなくて西原が来てるんだ。掃除終わってんなら、顔出してやれ」


「…あ、そうなの?それなら、うんっ‼」


いそいそとモップや箒、雑巾をまとめて持ってむつは何となく嬉しそうに出ていく。


「分かりやすすぎて腹立つヤツだな」


「…素直で可愛いじゃなくてですか?」


「仕事の依頼だと思って無視してたんだろ?お前もむつも…まったく…素直過ぎるぞ」


「いや、年末ですしね…」


ばしっと山上に頭を叩かれた祐斗は、困ったように笑いながら掃除用具を持ってむつを追うように出ていった。


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