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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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みずのにおい

冬四郎が出ていくと、むつは片付けをして、ゆっくりとシャワーを浴びた。冬四郎の後だからか、まだ冬四郎の匂いが残っているようで、何となく寂しさを感じた。むつは頭から足の指まで、たっぷりの泡でくるくると洗って、風呂を出ると髪の毛を乾かして、すぐに身支度を整えた。


今日こそは大掃除をして仕事納となるはずで、むつはスーツではなく動きやすく汚れてもいいように、デニムにパーカーとラフなかっこうだった。テーブルには大きな瓢箪が2つ置いてあり、むつはそのうちの1つを鞄に入れた。昨日の百鬼夜行で、貰ってきた酒だ。冬四郎が貰った分は、今度冬四郎と呑むようにして、むつは自分が貰った分は会社の倉庫に置いてある物たちへ持っていこうとしていた。


ちゃぷちゃぷと水の音のする、瓢箪はずっしりと重たい。珍しくリュックにしたのは、瓢箪を運ぶ為だった。ちゃぷちゃぷと揺れる水音は聞きながら、むつは少し首を傾げた。何か思い出しそうな事があったが、それは時計を見てすぐにまた記憶の奥底に沈んでいく。


「…あたしが遅刻するわね」


火の元と戸締まりの確認をして、むつはスニーカーをはくと玄関を出た。今日は特に何もないから、電車を使おうと決めていた。大掃除の後で、皆で忘年会をする話しもあるから、余計にバイクで行くわけにはいかない。


鍵をかけて、むつは少し急ぐようにエレベータのボタンを押した。すぐにやってきたエレベータに乗り、1階に着くとぱたぱたと駅に向かって駆けていく。背負ったリュックの中で、瓢箪が揺れてちゃぽんちゃぽんっと音を立てる。そのたびに、少し身体も傾くようで、むつは本当に運動したり筋トレしないといけないかと感じていた。

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