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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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みずのにおい

シャワーの音が聞こえてくると、むつはすぐに冷蔵庫を開けたり閉めたりを繰り返しながら、鍋やらフライパンやらを取り出して、てきぱきと朝食の支度に取り掛かった。米だけは寝る前に、セットしたからすでに炊けてはいる。後は味噌汁と簡単におかずを作るだけだ。むつは冷蔵庫の中身と時計を交互に見て、少し考える素振りを見せていたが、ふむと頷くと電気ポットの湯を鍋に入れて、水洗いしたホウレン草を入れた。


フライパンを片手で器用に振り、鍋の蓋を開けて味噌を解いたりと、むつは無駄なく動いている。シャワーを浴びてすっきりとしたのか、冬四郎は壁にもたれるようにして、その様子をまじまじと見ている。


「なぁに?もうちょっと待ってて」


「いや、良い匂いしてるなと思ってさ。味噌汁の匂いをする朝っていいな」


「…たまには作りに行ってあげよっか?合鍵貰ってるわけだし」


「そうして貰おうかな。最近、作るのが面倒でコンビニか外食ばっかりでさ…無駄な肉がついてきた気がする」


「何それ、嫌味?ぜんっぜんお肉ついてないくせに‼昨日だって、すーぐあたしに追い付いてきて…あたしは運動しないとダメだわ」


「ま、仕事なんて身体が資本だよな。ドライヤー借りるぞ、あ…髭剃り欲しいな。なぁ洗面所のT字剃刀使ってもいいか?」


「えー?あれ、あたしが身体剃るのだよ?あ、洗面所の下に新しいのあるからそれなら出して使っていいから。あの、使い捨てタイプのやつね。お兄ちゃんのお泊まりセット用意しとかないとだね」


「…お泊まりセットって」


冬四郎が呆れたように笑いながら、洗面所の方に向かっていくと、むつは四角いフライパンを火にかけて、溶いた卵を長し込んだ。すでにジャガイモの味噌汁とホウレン草の胡麻和え、きんぴらごぼうが出来ている。ちらっと時計を見て、むつは間に合いそうだなと確信して、米を弁当箱に敷き詰め始めた。

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