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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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むかっていく

「何だろ…にぎやかだね」


「何か分からないけど楽しそうだな」


むつは冬四郎の背中に隠れるようにしながら、近付いてくる明かりをじっと見ている。珍しくも、むつが何かを怖がってるような素振りに、西原は少し目を見張った。そして、むつを隠すように冬四郎の横に立った。


「…祐斗が言ってたの、あれかな?」


「どうだろうな…でも、谷代君のマンションからここだと距離があるぞ?歩いての移動だとしても…相当な速さになるんじゃないか?」


「うん…でも、ゆっくりな感じに見える。ってか、しろにぃにも視えてるって事は霊じゃなくて妖の団体さん?」


がやがやとした団体は、ぞろぞろと列を成すようにして、3人の目の前までやってきていた。


「祐斗、居る?」


「分からない。近くに来たら…」


「何か真っ直ぐこっちに来てますけど…俺たちここに立ってて、大丈夫でしょうか?」


「俺に聞くな」


真っ直ぐに向かってくる団体を避けようと、3人が場所を移動するときっちり方向を改めて、やはり団体が真っ直ぐ向かってくる。


「ロックオンされてるわね」


むつが諦めたように言うと、冬四郎と西原はきっと目を細めて険しい表情を浮かべた。妖に対抗出来るような能力があるのはむつだけだが、今はその能力も使えない。冬四郎と西原には、何が出来るかは分からないが、易々とわけの分からない物に巻き込まれるわけにはいかない。


「…あっ‼うちの筆だ‼」


先頭に居る落武者のような人を見て、むつは何だか嬉しそうに声を上げた。がっちりとした体格に、鎧をつけ血まみれで身体には矢が刺さり貫通している。それを見て、嬉しそうなむつに冬四郎はぎょっとしている。


「祐斗も居るはず。うちの子見たって言ってもん」


「お前、うちの子って…子って…」


「子ってレベルじゃないですよね。何か肩から矢が出てますよ、あれ」


痛そうと西原は呟いているが、むつはそんな事はお構いなしに、とことこと団体の方に向かっていく。


「あっ…危なっかしくてやんなっちゃうのはむつなんだけどな…」


「本当、それな」




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