むかっていく
「…しろにぃ、暇ならさ泊まってかない?」
「明日も仕事だからな。1回家に着替えを取りに行ってからなら構わないけど」
「じゃあ…お願い」
冬四郎は仕方なさそうに頷いた。だが、嫌そうな顔でも何でもなくほんのりと笑みを浮かべていた。冬四郎が泊まると分かったからか、むつもほっとしたような表情を浮かべている。
「で、今日は車?」
「あぁ…何か用事か?」
「うーん…荷物取りに行くなら、ついでにあたしも…で、寄り道もして欲しいかなぁって思ってる」
「どこに?」
「…先輩の所」
もじもじとしながらむつが言うと、冬四郎は何か考えるように上を向いた。そして、何やら納得したような顔をした。
「だから、おあげな…いなり寿司好きって言ってもんな。で、西原君は当直だし差し入れか」
「…はい」
「何だよ?」
「え、だって…深く関わるつもりなら、それなりに先の事を考えろって…それが出来ないなら、辞めとけってしろにぃ言ってたし」
「まぁな。西原君は西原君で、真剣にむつの事を考えてくれてるからな。お前もそれ分かってるだろ?だからな」
「うん…先か。考えられないよ、誰とでも。でも、先輩は大切な人だから…最近はお世話になってばっかりだから、差し入れしたいの」
「まぁ方向は違えどそう思ってるならいいんじゃないか?差し入れか…俺も今度頼もうかな。当直の時ってカップ麺とかだからなぁ」
仕事で泊まりとは言えどわびしいと冬四郎が呟くと、むつはこくっと頷いた。
「でも、しろにぃにするならいちにぃにもしないと…また拗ねるからね」




