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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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むかっていく

「あの…」


むつと山上は揃って声の方を見た。ファイルを持ったままの祐斗が、2人の視線に少しだけびくっとしていた。それほどに、2人の表情が険しかったのだろう。


「どうしたの?」


「え、あ…あの、回収した物で処分済みって書いてあるのもあるじゃないですか。処分ってどう処分したのかと…俺来てからは、処分とか見た事ないですし」


「あ、そうだっけ?処分っていうのは、悪さするのだけなんだけどね。あたしが札で抑えて、お寺さんで供養をお願いしてって感じ。よくあるでしょ?人形供養とか。あんな感じで」


「そうだったんですか。知らなかった」


「祐斗来てからは、行ってなかったかも。そもそも、そんなに悪い子たち居ないし?うちの倉庫で夜な夜な、仲間内で騒ぐくらいならいいかなーって思ってたもん。出歩くわけじゃあるまいに」


「…きっと、それは一般的な人からしたら怪奇現象ってやつなんでしょうけど」


「まぁね。でも、だって、倉庫に閉じ込めてるんだよ?可哀想な事しちゃってるし、そのくらい大目に見てあげないとさ」


「まぁそう…そうですか?そのうちの倉庫にあるのは、全部が憑喪神なんですか?」


「違うよ。なりかけてるのもあるし、持ち主の感情が蓄積されて…まぁ念みたいな物が溜まった結果、それが1つの妖として独立した物もあるし、色々だよ」


「それって結構、危ない物もあるって事なんじゃないですか?お守りとかも神社に返さないで持ってると、よくないとかって聞きますし」


「そうね…うちの子たちが悪いわけじゃないんだけど。お外に出ちゃうとねぇ…不可解な物として怖がられるだろうね」



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