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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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たいみんぐ

「え…でも…」


「先輩が嫌なら辞めるよ?つーかさぁ?あいつも、人の事を馴れ馴れしく呼び捨てって何なのかしらね。元彼だからって、そんなに易々と呼ばないで欲しいわよ」


「まぁな…」


西原も元彼だしむつと呼び捨てにしている。そう言われてしまうと、何となく西原もむつと軽々しく呼び捨てには出来なくなってしまう。西原がそんな事を考えている事に気付いたのか、むつがふっと西原の方に顔を向けた。


「先輩は別よ?」


「…お前とちゃんと付き合ってたからか?お前の言う、ちゃんとって何だ?」


「だから…今はその話はいいでしょ」


「今は、な。あとでゆっくり聞くよ」


「答えないし」


むつはそう言っても、不貞腐れたような様子はない。だが、熱が上がってきてるのか、眠たそうな目をしている。


「…体調どうだ?」


「ん、まぁ…良くはない。だから、早く終わらせて帰りたいの。明後日は大掃除だし、ちゃんと仕事納めはしたい」


「でも、地元かなんだし…このまんま実家に帰ったら楽なんじゃないか?」


「次男が実家に居るから…体調良くなってから、自分で運転して帰るよ」


「次男も甘いのか?」


「次男も甘いかな…こういう体調悪い時は次男が1番甘いかも。普段は、1番まともだよ?ちょっと厳しいくらいだし」


「基本は…」


「皆、甘いのよ…っと、ほら…来た」


何が来たのかと、西原は正面を見た。ヘッドライトは消してあるが、街灯はある。その光の中、ぬっと人影が現れた。むつは、パーカーを着ながら外に出ていく。西原もそれを追うようにして、車から降りた。


「熱かったんだけど」


「…それを言うなら、痛かった」


がらがらとかすれた声で、返事が聞こえてきた。会話出来る事に、むつはほっとしたような表情を浮かべている。

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