たいみんぐ
「可愛がられてると猫又になるのか?」
「その猫にもよると思うけど…ほら、こさめだって、篠田さんが大好きで人になりたかったタイプでしょ?だから、若くても…ようは、その猫の気持ち次第じゃない?愛は種族を越える?的な?」
「うん…お前、ちょっとどうした?おかしくなってきてないか?」
「平常運行」
「ダメだな…」
むつは山上に寄り添うようにして、まだ大丈夫だよと言っている。晃は、2人の会話が耳に入っていないようで、呆然としている。西原は、この状況をどうしたらいいものかと悩んでいる。だからといって、気安く晃を励ましたりはしない。
「…猫ばっかりだね。そう言えば、天野宅の猫は火車が来た時、どうだったんだろ?驚いたりとか…」
「さぁ?」
「それに喧嘩って…こっちの子は、どっかの部屋の中に入れられてただけなのかしら?本当に喧嘩?今は隣合ってても平気そうなのに…猫又に火車に猫…こうも猫系で攻められると…悩む。それに、ご遺体も…良い人なのに火車が出るなんて…寺に火車か…仏って極楽浄土?火車は地獄?ふぅん…君はどこの部屋に居たの?」
またしても、ぶつぶつとむつが言っている。すると、むつの手から逃れた茶トラ柄の猫は、とっとっとと歩き出した。そして、立ち止まってむつを見た。
「ついてこいだってさ」
猫は一言もそんな事は言ってないが、むつにはそう思えたのだろう。立ち上がったむつは、猫の後を追って部屋から出ていった。
「おいおい…大丈夫じゃなさすぎるぞ…晃!!むつが居なくなったぞ!!しっかりしろ‼」
山上に一喝され、晃はばっと隣を見た。だが、むつはもう部屋から出ていった後で、当然の事ながら横には誰も居ない。
「どっ…どこに!?むつっ‼」
晃がばたばたと部屋から出ていくと、山上は西原を促した。西原は頷くと、むつと晃を追って山上と共に部屋から出た。




