表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
886/1310

たいみんぐ

山上は、むつが抱いている猫が猫又になりかかっていると聞いて、驚いたような顔をしているが、晃はそれどころではない。むつが熱でおかしいのだと思い、心配で心配でたまらないのだ。


ぴぴっと鳴ると、待ち構えていた晃は体温計を取って数字を確認している。晃は溜め息をついて、体温計を山上にも見せた。


「8度6分…高いな。むつ、今夜はもう大丈夫だろうし…少し寝させて貰ったらどうだ?俺たちが起きて、見張ってるから」


「うん…今日は疲れたよ。えびす様の恋の応援しておっちゃんとその記憶にって撮影して…何か長い1日だわ…」


疲れきったように、むつは溜め息をついた。


「すみませんが…妹は熱があるので少し休ませてやりたいんですが」


「…分かりました。自宅の方で部屋を準備しますので、待っててください」


新士は再び、ぱたぱたと出ていく。


「むつ寝ないよ?」


「さっき、寝るって言ったじゃないか」


「いーや。自宅って天野さんの家に泊まるって事でしょ?嫌だ。お兄ちゃんと居る…」


むつは晃のジャケットの裾を掴んで、ぐいぐいと顔を押し付けている。甘えて駄々をこねている様子に、晃は嬉しそうな笑みを浮かべはしたが、むつの体調が気になるようで少し困っている。


「それに早期解決を目指すから…ねぇ、天野さんの家なんて行きたくないの…お兄ちゃん…」


甘えてくるむつは可愛くて仕方ないようで、でれっとした笑みを浮かべるもやはり、晃はむつに嫌でも休んで貰いたいようで何も言えずに居る。


「…もういい。お兄ちゃんあっちいって…むつには社長と先輩が居るもん」


晃が何も言わないと分かると、むつは起き上がって晃をあっちいけと押しやっている。そして、山上の方にくっつくように寄っていく。ショックを受けたような晃に、山上と西原は笑いを堪えている。


「で、むつその猫は本当に猫又になりかかってるのか?」


「うん…ほら、尻尾の横に新しい尻尾が出てきてる。よっぽど可愛がって貰ってる証拠だよね」


むつは猫の鼻に自分の鼻を押し付けるようにして、ぐりぐりとしている。猫は嫌がる素振りもなく、ふりっと尻尾を振っただけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ