たいみんぐ
「猫かぁ…」
むつは猫を抱いて、ごろんっと行儀悪くも寝転んだ。茶トラ柄の猫は、まだ興奮気味なのか、ふーっふーっと言っている。むつが優しく何度も撫でてやると、落ち着いてきたのかくったりと体重を預けるようにして、むつの首元にすり寄った。
「あぁ、確かに猫耳つけた人形だったわね…尻尾もあったし。ねぇ、可愛い女の子がすると萌えるっていう人も居るていうのに…確かに燃えたけどさぁ…」
寝込んだまま、ぶつぶつとむつは呟いている。茶トラ柄の猫は、むつの声を聞いて、ミャアと小さく鳴いた。まるで返事をしているかのようだった。
「…むつ?」
晃は寝込んでいるむつの、カーディガンが持ち上がって、腹が見えそうになっているのを直してやっている。
「んー?」
「大丈夫か?」
「…大丈夫くない」
「だろうな」
やっぱりなと頷いた晃は、むつの額に手を当てた。うーんと唸って、手を離すと困ったように山上の方を見た。
「ちょっと熱がありますね」
「…えっ!?そうなのか…むつ…いつから体調悪かったんだ?」
「…社長に無視されてた時くらいから」
「何で言わなかったんだ…依頼も引き受けないで、ゆっくり過して良かったんだぞ?」
「うーん…お兄ちゃん経由だもん。断らない」
むつはそう言って、甘えるように晃の方にすり寄った。晃は自分が厄介事持ち込んだから、むつの体調がよくないんだと分かり、おろおろとしている。
「そう言えば…お前、いつからここに預けられてるんだ?ご主人はどうしたの?」
ごろごろと喉を鳴らして甘える猫を撫でながら、むつは猫に話し掛けているが、猫は答えない。




