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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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たいみんぐ

「あら…?」


靴を脱いで上がろうとして、寺の奥の方からぎゃーっと声が聞こえてきた。それと共に、ばたばたと足音も聞こえる。


「…お兄ちゃんの声じゃないね」


「明らかに違うだろ。人じゃなくて、猫っぽくないか?連れてきて貰ったろ?」


「喧嘩っぽいね。ん、でも…猫ってあの子だけじゃなかったのかしら…」


「動物は、人には見えないものが見えるって言うし…寺だし何か出たんじゃないか?」


西原がそんな事を言うと、むつと山上はもしかして、と靴を脱いで鳴き声がした方に向かって行く。すぱんっと勢いよく、むつが障子を開けると新士が自宅から連れてきた猫を腕に抱き上げた所だった。だが、猫は興奮しているのか、じたばたと暴れまわっている。


「何があったの?」


「あ、や…ちょっと…お、おいっ‼こらっ‼」


腕から逃れた猫は、新士が捕まえようとするも、するっとその手をくぐり抜けて廊下に出て行ってしまった。


「…むつ、開けっぱなしにするなよ…逃げられたじゃないか。まったくもう」


「閉じ込めてたの?」


「あぁ…お茶を入れ直そうと思って、出たら一緒に来ちゃってさ…喧嘩になったから…追い払って閉じ込めたんだ」


「誰と誰が喧嘩に?」


「うちの猫と預かってる猫が」


きょとんとしたような表情のむつは、他にも猫居たんだと呟いている。そんなむつをほっといて、新士は廊下に出て猫を追い掛けていく。どの部屋か分からないが、ぎゃーっとまた鳴き声がした。それと共に、こらこらっと晃の声も聞こえてくる。


「お兄ちゃんは喧嘩の仲裁してるんだ…さすが、警官。勤務時間外でも仕事してる」


「感心する所か?」


西原が呆れたように聞くと、むつは首を傾げた。

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