たいみんぐ
ばたばたと戻ってきた新士は、庭にサンダルを置いた。山上と西原の分もちゃんと持ってきてくれていた。
「あ、すみません…お借りします」
西原は何となく不服そうな感じだったが、サンダルをはいて庭に下りた。そして、むつの足元にサンダルを持っていってやった。
「ありがと…しんちゃんも、ありがと。で、猫人間はどっちに向かってったの?」
「墓場の方に行った。俺はご遺体抱えてたし、親父は見に行きたくないって言うから…ご遺体を戻してから見に行ったけど何も居なかった」
「…よく行ったわね」
「墓場っても庭ん中みたいな物だからな」
「子供の頃からあれば当たり前か」
むつはペンライトで墓場の方を照らして、ちょっと嫌そうな顔をして山上と西原の方を向いた。仕事とは言えど、山上も行きたくないという顔をしている。西原も同じ様な物だ。
「墓場の方に行く?行くなら一緒に行くよ?」
「そうね…慣れてる人にも来て貰おうかな」
新士はサンダルをはいて、むつの方に手を差し出した。むつがペンライトを渡すと、違うと笑っている。
「何が違うのよ?明かりいるでしょ?」
「あった方が有り難い。でも、そうじゃなくて、手繋いでやるって。夜の墓場怖いんだろ?」
「…はっ、いらないわよ」
「またまた強がっちゃって」
むつはパーカーのポケットに手を突っ込んで、先に歩き出した。ひょうひょうとした態度の新士が、むつの足元を照らしながら後に続くと、むっとした表情の西原も追い掛けていく。
「…西原、これ持ってけ。俺は晃の所に戻ってるからな。むつを頼んだぞ」
ペンライトを投げ渡され、西原は頷いた。珍しくも不機嫌さを露にしている西原を見て、山上は肩をすくめただけで、寒い寒いと晃と住職を居る部屋に戻って行った。




