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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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たいみんぐ

「…静かな場所だな」


「住宅も少ないからね」


むつは晃の隣に立って、一緒に歩き出した。石段を登ると、目の前には本堂が見えてきた。そして、その右隣には自宅がある。むつは晃の足元を照らしながら、少しだけ後ろをついていく。


ドアの前まで行くと、晃はチャイムを押した。少し待っているとどたどたと騒がしい足音が、近付いてきた。すると、何を思ったのか、むつは後ろに居た西原の隣に行き山上を晃の隣におしやった。


がちゃがちゃと鍵を開けて、引き戸が勢いよく開くと着物姿の年配の男が顔を出した。


「こんばんは。お待たせしてしまって、すみません。こちらの方が…」


「怪異の専門家ですね?お待ちしてました。自宅は家族が居ますので…寺の方に。少し待っててください」


やはり家族には聞かれたくないようで、男は戸を開けっぱなしにして廊下の奥に入っていった。そして、何かを言いすぐに戻ってきた。草履をはいて玄関を出た男の後に続いて、4人は寺の方に向かった。靴を脱いで上がり、奥の方に通される。ふわっと香る線香の臭いが、だんだんと濃くなってきている。


「新士、入るぞ?宮前さんが、専門家の方といらしてくださった」


声を掛けてから、男は障子を開けた。ふわっと線香の臭いが、強く漂ってきた。畳の部屋には、布団に寝かされ白い布で顔を隠してある遺体と、その側に細身の男が座っているだけだった。座っていた男は、ゆっくりとした動作で立ち上がると深々と頭を下げた。

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