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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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たいみんぐ

晃の運転する車が高速道路に入って、ゆっくりとスピードをあげていった。少し眠ったからか、むつはもう寝る事もなく、窓の外を眺めている。何を考えているのか分からない横顔を、西原はちらっと見た。窓越しに目が合ったような気がしたが、ついっとむつの視線は何事もなかったかのように反れた。


道路を照らす街灯と対向車のヘッドライトくらいしか光はなく、車内は薄暗い。前に座っている山上と晃は、時折何かを話しているようだ。だが、その内容は、はっきりとは聞こえたい。


立場が上の人間が運転をしている事に、落ち着かないのか西原は、まだそわそわとしている。山上だけであれば、気安く話し掛けられるが、晃がいるとどうも緊張してしまう。


西原はそろっと手を伸ばして、座席に力なく置かれているむつの手に触れてみた。むつは、ゆっくりと指を曲げて西原の指を握った。そして、振り向いてくすくすと笑っている。


「落ち着かないんでしょ?」


否定は出来ずに西原は、困ったような笑みを浮かべただけだった。


「大丈夫だって。お兄ちゃん、運転上手いよ?あたし、あんまり酔わないもん」


「それは知ってるから安心してる。そうじゃなくて、運転させてる事がな…」


「…帰りは運転したらいいんじゃない?他にも何か落ち着かない事あるの?」


「今から、むつの元彼を見るのかと思うと」


「え?何で?あたしは、そりゃあ顔もあんまり覚えてない元彼に会うってのは気まずいけど…」


「そりゃあ…何か、なぁ…」


「むつだって、晃の元カノ、西原の元カノに会うってなったら嫌じゃないか?」


身を乗り出すようにして山上が言うと、むつは首を傾げた。


「別れ方とかにもよるかな?本人同士が気まずくないなら、あたしは平気かも…ってより、想像つかない。そんな経験ないし…いちにぃの彼女さんとかはさ、会わせて貰ってるもん。半強制的に。ここ何年も彼女出来てる気配はないけど」


「晃…彼女出来たらむつに紹介してたのか?」


「そりゃあしますよ?むつからは、そんな報告貰った事なかったけどな」


「そんな報告するわけないじゃん‼」


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