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ひとりきり
吉岡に案内され娘が使っていたという、部屋のドアを開けた。
「入っても良いですか?」
祐斗が聞くと、吉岡は頷いた。その顔に、うっすらと笑みが浮かんでいるのに祐斗は気付き、部屋に入ってはいけないような気になった。
何とも言えない気持ち悪い空気が、身体の回りにまとわりついている気がした。
「どうかしましたか?」
吉岡は室内に入り、電気をつけた。
「いえ…失礼します」
入りたくありません、とも言えず祐斗は室内に足を踏み入れた。
入ってすぐ、祐斗は顔をしかめた。結論から言えば、何も視えない。だが、何かが居るような気がした。それは、祐斗には分からなかった。
室内に入り中を見渡すと、まだついこの前まで使われていたかのようだった。




