たいみんぐ
途中、食事を取ろうと起こされたむつは、少し不機嫌そうではあった。だが、言われる前にとゆっくりとではあったが、スプーンを動かしている。山上も西原も晃も、ほとんど食事が終わりそうだというのに、むつの目の前にあるリゾットは米が水気を全部吸ったのか、運ばれてきた時よりも多くなっているように見えた。
「むつ、無理して食べない方がいいぞ」
「…食べろって言うくせに?」
「いや、まぁ…食えるならな?でも、もう入らないんだろ?気分悪くなると困るからやめとけ」
西原に優しく言われたむつは、素直にスプーンを置いた。むつの食欲がないというのを聞いていた晃だったが、本当に食べないむつを見て、心配そうに眉間にシワを寄せていた。
「1人前も食べれないのか…」
「ん、うん…最近はね。でも元気だよ?体調崩さないし…全然、元気だけど」
晃が本気で心配しているのを分かっているむつは、笑みを浮かべてみせたが、それは晃を余計に心配させるものだったようだ。困ったような顔をしたむつは、ふうと溜め息をついた。
「能力がね、使えないとエネルギー消費する所がないから食欲落ちるんだって。前よりも…だんだん弱くなってるのかも…」
「そうか…」
「残念?」
「いや?無いならないで、別の人生ってやつがあるだろ?それだけが、取り柄じゃないんだからな」
「ん…別の人生ね」
ふぅんと言ったむつは、何か思い出したのか、くすっと笑った。




