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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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たいみんぐ

テーブルの上を片付け、戸締まりをきちんとしてから、4人は部屋を後にした。


「お兄ちゃん運転手?」


「そうだな。むつと山上さんにさせるわけにはいかないし。西原君は、俺が巻き込んだような物だからな」


「え、そんな事は…あの、ご迷惑でなければ、私が運転しますから」


「いや、いいから。それに道を知ってるやつが運転した方が早い。俺はカーナビつけない派だからな」


「あーそうね」


パーカーを着て、しっかりとマフラーを巻いているむつは、まだフレームの大きな眼鏡をかけていし、寒さ対策なのかマスクまでしている。


「お兄ちゃんが運転なら大丈夫だわ」


「何が?」


「車酔い。やばくなったら運転交代ね」


「むつとか?危ない気がするな…それなら酔う前に寝てしまいなさい」


「頑張ってみる」


甘い物である程度の腹が満たされているのか、むつはすでにふぁふぁと欠伸をしている。これなら、酔う前に完全に寝るなと、西原は思っていた。そして、やはり思った通り車を走らせて間もないうちに、むつはことんっと眠りについた。


シートベルトはしているが、むつの首はゆらゆらとしている。コートをかけてやり、西原はむつの方に寄るようにして座り直した。こてんっとむつの頭は西原の肩に乗り、それからはゆらゆらする事もなくなった。


「本当に仲良くなったよな。あれか?散々泣かせた結果、逆に信用されたか?」


振り向いた山上が、からかうように言うと西原は困ったように笑っただけだった。


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