たいみんぐ
西原がしどろもどろになっていると、晃は微笑みを口元には浮かべたまま、目が鋭さを帯びてきている。山上は、そんな晃の様子は見慣れているのか、タバコを吸い始めている。
「…むつさんを食事に誘いに来たんです。店も決めてないなら、手作りしてくれると言うものですから、お言葉に甘えようと」
「ほぉ…むつが、西原君の為に?料理を手作りすると?それで仲良く買い物か…」
ふぅんと言った晃は意外にも、目付きの鋭さをしまった。むつがねぇ…と呟いていた。
「そうか。仲良くやってるんだな」
「は、はい…」
「泣かせるなよ?」
「そ、それは勿論です」
「…山上さん?知ってたんですよね?むつと西原君が仲良くなってる事を。今夜一緒に過ごす事も」
「おう。俺が外堀埋めてたから…あっ‼」
「…むつ、拗ねてましたよ?湯野さんと祐斗君が狸寝入りして無視した事が許せないようでした」
「謝るの忘れてた…それに、アルバムの礼もまだ言ってなかったんだ」
「早めに言ってあげてくださいよ」
晃は何の話なのか分からない様子で、山上と西原の会話を聞いている。
「見せてやろうか?むつがな、アルバムを作ってくれたんだぞ、ほれ」
文庫本サイズの本の形になっているアルバムを、ジャケットのポケットから取り出した山上は、テーブルの上に置いた。
「へぇ…相変わらず写真撮ってるんですね」
「えぇ。今日は知り合いの写真屋さんからお古だけどってカメラ貰ったって嬉しそうにしてましたよ」
晃と西原は、どんな写真がおさめられているのかと気になるようで、ページをめくっていた。




