たいみんぐ
西原と過ごせなくなると、拗ねていたむつだったが、西原も一緒に来ると分かってか、少し嬉しそうな顔をしてみせた。だが、すぐに気持ちを切り替えたのか支度をすると部屋に入っていった。
「…西原君、悪かったね。邪魔をして」
「え、いえ…そんな…」
むつが部屋のドアを閉めると、ソファーから下りて床に座った晃が、小声で西原に謝った。
「いや、本当に…山上さんから聞いてるからな。最近、むつの事を色々と気にかけてくれてるようだし。怪我の方はもう完全に大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。怪我した次の日からは仕事もしてましたし…むつさんがすぐに手当てをしてくれましたので。命に別状もなく」
「そうか…手間をかけるかもしれないが、むつの事は宜しく頼むよ…だからと言って、付き合いを許すとかはまた別の話だからな。お互いが、そうであるなら仕方ない…認めたくはなくてもな。ただ、付き合っても居ないのに、荷物もちにわざわざ来たのか?ん?」
本題は後半部分だなと西原は思い、何と答えようかと悩んだ。荷物持ちの為に来たわけではないが、泊まりに来たとは口が裂けても言えない。そんな事を言えば、西原の身が危険になりそうだった。
「あの…それは…その…」
「西原君は何をしに、ここに来てるんだ?」




