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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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たいみんぐ

「それで?とりあえず、先に話を聞きたいんだけど…何?何があってご遺体が無くなるの?」


「遺体が無くなる?盗難ですか?」


遺体が無くなると聞き、西原は真剣な表情を見せて晃の方を見た。仕事の事になると見せる表情に、晃はうっすらと笑みを見せて、山上の方をちらっと見た。山上は何も言わずに、にっと笑っている。


「盗難ではあるけど…警察の出る幕ではないんだ。だから、むつに電話をしたんだ」


「あ…そうですよね。口を挟んで申し訳ありません」


「いいや、いいんだ。西原君が仕事熱心だっていうのがよく分かる。それは、俺としても嬉しい事だし、心強いからな」


晃が珍しくも誉めるように言うと西原は、反応に困ったのか、滅相もないと言っている。


「…それで、何者かが持ち出そうとして取り返したって言ってたけど…それなら盗難なんじゃないの?」


「確かにそうなんだけどな。その持ち出したやつが、どうもな…人には見えなかったらしくてな」


「…お兄ちゃんの知ってる所のお寺さんなの?その相談をお兄ちゃんにしたって事は、相手側はあたしの事も知ってるの?」


「あぁ…天野さんだ」


「天野、さん…あ、もしかして近所の…」


「覚えてたか?そうそう、家の近所のお寺さんだよ。確か、次男か何かが、むつとは同い年だっただろ?」


「うん…でも、あたしの力の事を知ってるのって、近所では菜々くらいだよ?」


「それはお前の周りな。親父が、あそこのご住職とは仲良いみたいでな、むつの事は昔、相談した事があるそうで知ってたぞ」


「って事は…ご住職がお父さんに相談して、お父さんからお兄ちゃんに?何で、あたしじゃなくて?」


「いや、親父は間に入ってない。ご住職から俺の所に話が来たんだ。電話でな」


「…へぇ?お兄ちゃんもご住職とは仲良いの?」


「いや?そこまで…まぁ近所だし顔は知ってるし。この前、お前が誘拐された時に実家に戻ったりして、会ったからなご挨拶はしてるからな。名刺も渡してるし…それでだろ」


「あー…」


誘拐された時、1度は死亡したとのニュースも流れたりして、兄たちも両親もどんなに心配したのかを知っているだけに、むつは何とも言えない。


「だから、正月は帰省しろよ?お前…まだ、あれから1度も顔を出してないんだろ?」


「…はい」


両親に安心して貰う為にも顔を出すのが、1番良い事はむつもよく分かっているが、なかなか足が向かなかったのだ。

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