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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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たいみんぐ

むつはやって来る2人を為に、マグカップを出してインスタントのコーヒーの粉を嫌がらせのつもりで、少し多めに入れた。


とんとんっとノックの音がしてドアが開いた。一応は、上がるぞと声がかけられたが、むつは返事をしなかった。ぱたぱたとスリッパの音が聞こえてきて、にゅっと大柄な男が入ってきた。


「むつ、悪いな…急に」


「…仕事の話なんでしょ?仕方ないわよ」


大柄で目付きの鋭い男、むつとはどこも似ていないが、むつの4人居る兄の中で1番上。長男の宮前晃は、むつに対しては申し訳なさそうな顔をしている。あとから入ってきた男、むつの勤める怪異専門の何でも屋、よろず屋の社長である山上聖も同じく、悪いなと言っている。


「…っと、西原君か」


「はい。お邪魔してます」


西原は立ち上がってから、きっちりと腰を折るようにして頭を下げている。晃は、うんと頷いてからむつの居るキッチンに入った。


「…何で居るんだ?」


「荷物持ち。これ、重たいもん」


まだしまっていない醤油やみりんなどのかさばる上に重たい物を指差して言うと、晃は納得したのか、それ以上は聞かなかった。


「…お土産、ここの最中もどら焼きも好きだろ?」


「…お菓子でつるつもり?」


「そ、そんなんじゃないぞ。ただ、仕事の事で急に押し掛けるのに手ぶらではな」


ふぅん、とむつは自分よりも大きく少し怖そうにも見える晃をじろっと睨んだ。末の妹で親子ほどの歳が離れているせいか、晃はむつにはあまり強くは言えない。それどころか、可愛くて仕方ない妹に嫌われないように必死なのだ。むつもそれを分かっているからこそ、そういう態度を取ったりもする。


「もう…でも、ありがと。ここのは本当に好きだし…ね、もう開けてもいい?食べたい」


「あぁ、勿論。その為に買ってきたんだから」


「うん、ありがとっ。コーヒーいれるから…あ、お茶の方がいいかなぁ?でも粉入れちゃったや…ま、いっか。とりあえず座ってて」


むつが笑みを見せると、晃はほっとしたような表情を見せて、リビングの方に向かっていった。


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