たいみんぐ
「おじさーん、お芋ください」
「はいよ。何個にしよう?サイズも選べるよ?今ならどれも焼けてるから」
焼き芋屋を出している年配の男は、愛想よく軽トラックの上にサイズごとの値段表を出して見せた。
「どうしよ…おっきい方が美味しい?」
「それはちょっとあるな。ねっとりして甘いのが好きなら大きめを進めるけど」
「そうなると…おっきい方が良いかな」
「食べきれるのか?LLって…Sはどのくらいなんですか?」
後からやってきた西原が、にゅっと値段表を見ながら、芋のサイズ感って分からないと言っている。焼き芋屋の店主は、嫌な顔もせずにSサイズがこれでと取り出して見せてくれた。
「…デカいな。Mサイズでもいいんじゃないか?絶対に食べきれないぞ?」
「明日も食べたらいいでしょ?」
「飽きないか?」
「…大丈夫!!」
「間があったな?自信ないんだろ?」
「ちょっと悩んだだけ。大丈夫、大丈夫。おじさん、LLサイズのを2つ‼」
「ばっか‼1つでもいいだろ?」
「え?いらないの?」
「…いる、けど…焼き芋だけで腹いっぱいになるだろ?夕飯は食えなくなるだろ?」
「だーかーらー明日に取っとけばいいの。おじさん、2つね」
「いや、1つでいいです」
むつと西原が2つか1つかで言い合っているのを嫌な顔もせずに、むしろ面白がるように、にこにこと店主は見ている。
「仲の良いご夫婦だねぇ」
「違います」
「あ、そう見えます?」
間髪入れずに否定したむつと嬉しそうな西原。店主はくっくっと笑っている。
「いやいや、でも、ほら。重たい物はみんな持ってくれる彼氏なんて、いい旦那にもなるよ。こんなのしてくれるのは今だけかもしれないけど」




