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ひとりきり
駅に着くと吉岡がすでに居た。祐斗は会釈をしながら、吉岡の元に駆け寄った。
「お待ちしておりました」
昨日とは違った落ち着きに、祐斗は少し不思議に思っていた。今から霊視を行うというのに、不安げな様子もなく、むしろにこやかだった。
「では、行きましょうか。家までは近いので」
吉岡は、にっこりと笑うと先に歩き出した。
祐斗は頷くと、吉岡の後について歩き出した。何だか祐斗の方が吉岡の様子に、不安になっていた。だが、ここまできて帰るわけにもいかない。
薄暗くなってきた道を祐斗は、吉岡の背中を見ながら歩いていく。歩みは決して早くはない。だが、駅から離れだんだんと明かりの少ない方に向かっているようで、気味が悪い。
店や家々の光も見えなくなってきて、辺りが暗くなってくると街灯のわずかな明かりが、祐斗の慰めだった。




