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ひとりきり
先程までの意気込みはどこへやら。祐斗はもう、緊張と不安でいっぱいいっぱいだった。
電車を乗り継いでいる間も、仕事を受けるんじゃなかったと後悔していた。何なら、今日ではなく違う日に改めてむつか颯介に頼むのが、1番良い方法だったのではないかとさえ思っていた。
目的の駅が近付くにつれ、落ち着かなくなった祐斗はする事もないのに携帯を取り出した。気付かなかったが、むつからのメールが届いていた。
祐斗は嬉しくなりすぐに開いてみた。
『無理はしない事。何かあればすぐに電話して、祐斗の仕事終わるまでオフィスに社長待機させとく』
とあった。むつらしい内容な気がして、自然と口元に笑みが浮かんだ。
仕事に向かうのは一人で、だが、こうして皆に見守られているのだと思うと祐斗はやる気が出てきた。




