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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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そんなひも

「おっちゃーんっ‼撤収っ‼」


「はぁーいっ‼」


うなだれているえびすと毘沙門天にはもう興味がないのか、むつは大声で奥村を呼んだ。どこに居るのかさっぱり分からないが、声はしっかりと聞こえてきた。三脚を肩に担いで、さくさくと歩いてきた奥村は、むつと同じくうなだれている2人の事は気にもせず、せっせと片付けを始めた。


「帰って、続きしなきゃ」


「そうね。えびすさん?請求書は後日、写真と一緒に持ってくるからね」


そう言って、むつと奥村はバッグを持ってさっさと帰って行った。少し暗くなってきているし、大急ぎで続きをしなくてはならない。幸いにも、まだ帰宅ラッシュ前で道はすいていたし、意外と早く帰って来る事が出来た。


機材を片付けて、データをパソコンに取り込んでいる間に、奥村は印刷し終わった年賀葉書の印刷ミスがないかをチェックしている。むつも写真の枚数を数えながら印刷ミスがないかを確認して、小分けにしていく。時間がないからか、2人は撮影に出掛けた後の休憩もせずに、それぞれのやるべき事をてきぱきとこなしていく。


アルバムに写真をはっていたむつは、ココアを飲んでタバコをくわえた。ライターがないと、きょろきょろと見回して、後ろの台かなと振り返って、ぎょっとして口からタバコを落とした。


「なっ…何してんの?」


置いてきたはずのえびすが、どんよりとした表情で椅子に座っている。その横には毘沙門天も同じく、暗い表情で立っている。音もなく現れた2人に、むつもだが奥村も言葉が出ない様子だった。


「と、とりあえず…おっちゃんライター貸してくれない?あたしのが見当たらないのよ」


「う、うん…たぶん、あたしが持って出ちゃったのが、むつちゃんのだと思うわ」


「…だね。ありがと」


むつはライターを受け取って、落としたタバコを拾って、ふっと息を吹き掛けてからくわえると、火をつけた。


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