表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
825/1310

そんなひも

こくこくとむつが好奇心むき出しに頷くと、美しい女性、弁財天は笑いだした。


「嬉しい事だけどね、私には心に決めた方が居るのよ。だからね、2人とはこれまで通りのお付き合いをしていくわ」


「…そうなんですか?」


「えぇ。それで、写真の事もえびすが頼んだみたいね。出来上がったら、私にもくれるかしら?」


「も、勿論です。でも、あの…隠し撮りみたいな事してて、ごめんなさい」


「良いのよ。でもね、他の人には絶対に見せちゃダメよ?神がトレーナー着てたり、あわてふためいてたりなんて…みっともないわ」


「絶対にしません‼大丈夫です…あの、失礼ついでに…弁財天様がお心に決めた方っていうのは…」


「聞きたい?」


好奇心がおさえられないむつがこくこくと頷くと、弁財天はまた笑っている。ベンチに座り込んだ2人も、それは気になるのか、がばっと身を起こした。


「じゃあ、貴女にだけね。写真があるの」


そう言って、弁財天は胸元に手を入れて1枚の写真を取り出して、むつにだけ見せた。その写真を見たむつは、えっという顔をした。


「あ…あーっ‼うっそ‼本当ですか!?」


「あら、知ってるの?じゃあこれも…」


弁財天は胸元から1枚の紙を取り出して、自慢気にむつに見せた。むつは、がしっと弁財天の手を掴んでその紙を凝視した。


「あぁっ‼うっそぉ‼ずるいです‼ずるいっ‼あたしも頑張ったんですが、取れずで…あぁ…弁財天様‼くぅぅ…是非、是非とも今度ゆっくりお話を…」


「これね、なかなかね。厳しいのよね…私は本当にラッキーだったわ。それにしても、貴女もよほど好きなのね?」


「いや、もう大好きですよ‼えー?もういつから…小5…11歳からですかね。かれこれ、17年くらいずっと好きです。片想いです…」


「貴女の方が長いわね…」


「長さなんて関係ありませんよ‼気持ちです。愛に長さも大きさもないんです」


きっぱりとむつは言い切った。そして、少し悔しそうに羨ましそうに、弁財天の持っている紙を見ている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ