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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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そんなひも

「むつちゃん、運転手よろしく」


「完全に助手かよ」


「さっき撮影行くときは連れてってって行ったじゃない?助手をするんでしょ?」


「…はい」


むつはバッグから財布を取り出して、免許証が入っているかを確認した。ちゃんとあるのを確認してから、奥村から車の鍵を受け取ると、車を店先に移動させる為に先に荷物を持って出た。


店の裏手にある駐車場まで、何がそんなに入っているのかと思うくらいに、重たいバッグを持っていき、車の荷台に置いた。これだけ機材を揃えているという事は、奥村は本気の撮影をするのだろう。


店先に車を移動させると、すでに戸締まりをしてドアに出張撮影中と札をかけた奥村が、赤いトレーナー姿のえびすと共に待っていた。狩衣姿も目立つが、燃えるようか赤いも目立つ。


「行き先はカーナビに任せましょ」


助手席に座った奥村は、カーナビの設定を行いあとはむつに任せると言った。


「…あ、そんなに遠くないね」


地図を見ながらむつは呟いた。カーナビの音声案内でも、目的地まで40分と言っている。バックミラー越しに後ろに、座っているえびすを見ると少しだけ顔色が悪そうだった。


「何か音楽でもかけましょうかね」


奥村は足元のラックから出したCDを入れた。どんっと心臓に響くような重低音がし、むつは慌てて音量を下げた。


「…ふーん、ふふん、ふふっふふっーん」


「おっちゃんとは音楽の好みまで似てるから本当に好きだわ」


むつもよく聞くバンドの曲が流れ出すと、むつと奥村は楽しそうに口ずさみ出した。楽しげに歌ってはいるが、その歌詞はそんな軽やかな感じではなかった。

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