そんなひも
むつがぱくぱくと口を動かすだけで何も言えないでいると、机に肘を置いて頬杖をついた奥村が振り向いて、ふっと笑っている。えびすは恥ずかしそうに、丸っこい身体を揺らしてもじもじとしている。どうやら、本当の事のようだ。
「まじで?えびす様も弁財天様の事が?えーっ‼そうなんだ…まぁ七福神の中では唯一の女性だけど…」
「うぅむ…そうなんだ…だから悩む。もうしぐ年始だっていうのに…」
「ほぅらね。むつは、鈍いわね。それで、えびすさんはいつから弁財天さんが好きなの?」
「もうかれこれ…150年は…」
「なげぇよ」
「長いわ」
むつも奥村もそれには、呆れたようだ。じいっとえびすを見ると、もじもじとしてますますうつ向いた。
「告白したらいいじゃん?」
「おばかねぇ。近いからこそ、告白なんか出来ないわよ。ましてや、毘沙門天さん?も弁財天さんの事を好きってなったら…それを聞かされたらますます無理よぉ」
「そっか。三角関係かぁ…ややこしい」
プリンターから出てきた写真を取って、むつは1枚1枚確認している。うぃーんうぃーんっとプリンターは、休む事なく動き続けている。続々と出てくる写真を見ながらむつは少し溜め息をついた。




