803/1310
そんなひも
「…分かった。でも、でも…」
すがるような顔をされたからか、むつは困ったような顔をしてそれ以上は強くも言えなかった。
「…話を聞くだけでいいの?」
押しに弱いのか、むつは念を押すようにしてたずねた。えびすは、こくこくと頷いている。
「そう!!そしたら、商売繁盛を約束する」
商売繁盛なんかされたら、ちょっと困る気もするとむつは思った。それに、今日は奥村の所で写真の現像をするのが仕事だ。奥村の所に連れていくのも、どうかと思うが仕方ない。
「…ここじゃ寒いから嫌。仕事しながらでしか聞かないわよ?暇じゃないんだから」
「いい‼それでいい!!」
「なら仕方ない…聞いてあげるわ。場所移動するわよ?その格好目立つから…急いで」
「…よし、行こう‼」
ぱっとむつの足から手を離したえびすは、すっくと立ち上がった。




